「MRJ」の初飛行(日本)

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11月11日、国産のジェット旅客機「MRJ」が初飛行しました。戦後初の国産旅客機YS11の初飛行から53年ぶりの出来事でした。「MRJ」は三菱飛行機株式会社が設計・製造した小型ジェット旅客機で、機体は88席と76席の2タイプがあります。主に短距離のローカル線に就航するものと考えられます。三菱航空機の主要株主は三菱重工64%、三菱商事とトヨタ自動車が10%ずつ、住友商事と三井物産が5%ずつなどです。

【ポイント1】軽量化と新エンジンで燃費性能は従来機種より20%改善

カナダのボンバルディア、ブラジルのエンブラエルがライバル
■エンジンは米国のP&W社が新たに開発した低燃費・低騒音のものが採用されました。機体にはアルミに代わり、日本の得意とする炭素繊維複合材料を多用し軽量化しています。従来機に比べ15%~20%程度燃費性能が良いのがアピールポイントです。

■今後は、2017年前半に型式証明を取得し、早ければ同年の4月~6月に最初の発注を行ったANAに1号機が納入される計画です。ライバルとなるのは、カナダのボンバルディア社とブラジルのエンブラエル社。中国やロシアも「MRJ」と同クラスの航空機を完成させていますが、前述2社との受注合戦になるとみられます。

【ポイント2】既に407機を受注済み

潜在市場は5,000機とも
■現在「MRJ」には、407機の受注(確定は223機)が入っています。1機当たりの価格が47億円とされている模様で、単純に受注機数が出荷されただけでも2兆円近い売上金額となります。実際には、これに補充部品やメンテナンスの売上高も加わります。

■三菱飛行機によれば、今後MRJクラスの小型機の需要は今後20年間で5,000機にのぼるとみられており、そのうち50%のシェアを獲得するのが目標です。

(*)個別企業に言及していますが、当該企業への投資を推奨するものではありません。

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【今後の展開】受注競争での勝ち残りがポイント、「MRJ」のアドバンテージもある

YS11の教訓を生かしたい
YS11はわずか182機の生産で、打ち切りとなりました。初めての旅客機生産ゆえの不手際、マーケティング戦略の失敗が指摘されています。旅客機の受注は大型商談のため、時には国家首脳までもがトップセールスを行うものです。「MRJ」には、この時の教訓を生かすことが期待されます。

開発時期は遅いがアドバンテージもある
「MRJ」のライバル社による2機種は既に就航済みのうえ、製造に関しても市場の評価を得ています。一方「MRJ」は、最新のエンジンを搭載できた利点があります。機体製造に関しても、ボーイングのパートナーとしてB787の製造分担など優れた実績を有します。新規受注での健闘が期待されます。

(2015年11月17日)

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