日銀は現行政策を維持、景気・物価見通しを大きく下方修正
日銀は現行政策を維持、景気・物価見通しを大きく下方修正
【ポイント1】「量的・質的金融緩和」を維持
成長率と物価の見通しを下方修正
■日銀は、30日の金融政策決定会合で、現行の「量的・質的金融緩和」の維持を決定しました。追加緩和への期待もありましたが、今回は見送りとなりました。
■日に発表の「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)では2015年度の実質GDP成長率と消費者物価上昇率がともに大幅に下方修正されました。
■景気の基調判断については、「新興国経済の減速を背景とした輸出のもたつきや天候不順の影響などによる個人消費の鈍さから下振れているものの、2016年度と2017年度については概ね不変」とし、緩やかな回復を続けているとの見方が維持されました。
【ポイント2】追加緩和期待はやや後退か
米ドル円レートは上下に振れる
■30日の日経平均株価は、前日の欧米株安を受け小幅安で始まりました。日銀の発表を受けて一時はさらに下押ししましたが、後場半ばから反発しました。終値は前日比+147.39円の19,083.10円でした。
■米ドル円レートは、発表を受けて一時円高に進みましたが、その後円安、円高へと振れる展開となり、日本時間の16時時点では120.70円と前日比で若干の円高となっています。
【今後の展開】物価2%上昇の達成は2016年度前半から後半に後ずれ
■展望レポートでは2%の「物価安定の目標」の達成時期について、従来の2016年度前半から、後半に後ずれしました。黒田日銀総裁は会見で、「これはエネルギー価格の下振れによるものであり、物価の基調は確実に改善している」とし、必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続するという、これまでの方針を繰り返しました。
■日経平均株価は、世界的な株価下落のなか、9月29日には16,900円近くまで下落しましたが、その後、中国の景気失速懸念が薄らいだことや、欧州の追加緩和期待などから30日には、1万9,000円台にまで回復しました。先行きにまだ不透明感はあるものの、基調としては、企業収益の拡大に沿った展開が期待されます。
(2015年10月30日)
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