「ESG」投資って?(日本)

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 「ESG」とはEnvironmental(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の略です。通常の株式投資では企業の利益に重点を置いて銘柄を選択しますが、「ESG」投資では、これに加えて企業の環境問題への取り組みや、株主、顧客、従業員、地域社会など、利害関係者に対しいかに企業の社会的責任を果たしているか、さらには企業の透明性や遵法性などの内部統制がとれているか、の観点を重視します。

【ポイント1】 具体的にどうやって投資を行う?

スクリーニングで選別、投資先企業との対話も有効

■「ESG」投資を行うには、一般的にはスクリーニングという選別手法が用いられます。専門の調査機関や機関投資家が、企業が反社会的活動にかかわっていないか、労働、人権、環境等に関する国際条約を遵守しているか、などをチェックし採点します。具体的には炭素の排出量や女性管理職の比率などについても調べ、採点し企業を選別します。

 ■公開情報はもちろん、企業へのアンケート、訪問・ヒアリングを基に多角的に採点が行われます。最近は、機関投資家自身が企業との対話や議決権行使などを通じ、企業行動に影響を与える「エンゲージメント」と呼ばれる手法も注目されています。

【ポイント2】 「ESG」って儲かる?

長期的には超過リターンが見込まれる
■企業が環境負荷軽減や社会的責任に注力することは、短期的には利益にマイナスに作用します。しかし、長期的な観点では、優れた「ESG」を持つ会社の企業価値がより向上するものと考えられます。利益至上主義の会社が、不祥事や事故を起こし、企業価値が大きく損なわれる事例から見ても明らかです。

■東京証券取引所が2012年に発行したレポートでは、「ESG」スコアの高い企業100銘柄のポートフォリオは、過去5年間で東証株価指数(TOPIX)を20%程度上回りました。

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【今後の展開】 欧州では広く普及、長期的視点が重要

■日本はまだ遅れている
「ESG」投資が最も盛んなのは欧州、次いで米国です。欧州では「ESG」が長期的な投資リスクを低減するという認識が広く浸透し、「ESG」に配慮した投資スタイルが主流になりつつあります。残念ながら、日本ではまだ普及の緒に就いた段階です。

■GPIFが「ESG」投資を検討
今年4月、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、資産運用に「ESG」投資を検討すると発表しました。9月末には国連責任投資原則への署名を行いました。これは日本の資産運用業界にも「ESG」重視の流れとして大きな波及効果を与えるとみられます。

(2015年10月29日)

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