「法人実効税率」の引き下げ(日本)

<今日のキーワード> 「法人実効税率」の引き下げ(日本)

法人実効税率とは、国税である法人税に地方税を含めて、企業の利益に課される実質的な税負担を示すものです。日本は国際比較をすると相対的に高いため、企業立地の競争力としては十分とは言えません。こうした中、2017年度にも国税、地方税を合わせて 20%台に引き下げる必要性が指摘されています。

【ポイント1】2016年度は31.33%へ引き下げ

2015年度は法人税改革の初年度

■2015年4月1日より、法人実効税率は前年度の34.62%(標準税率)から2.51%引き下げられ、32.11%となりました。続く2016年度にはさらに0.78%引き下げの31.33%とする方針です。15年度、16年度の法人実効税率の引き下げは、財源が全額確保できなくても減税するという、「先行減税」が確保され、法人税改革の起点と位置付けられています。

【ポイント2】成長志向の法人税改革

立地競争力向上のスピード化
■法人税改革はわが国の競争力を高める成長志向型の構造改革で、加速が求められます。「経済財政運営と改革の基本方針2014」では、「数年で法人実効税率を20%台まで引き下げることを目指す」と明記されました。

■続く2015年の基本方針では「現在進めている成長志向の法人税改革をできるだけ早期に完了する」とされています。16年度の31.33%では、アジア諸国と比較して立地競争力は十分とは言えません。着実な引き下げが必要と考えられます。

151023jp

【今後の展開】着実な引き下げに期待

■法人実効税率の20%台を目指す
報道では、政府は法人実効税率を2017年度に20%台に引き下げる可能性があると指摘されています。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)や中国を含む東アジア地域包括経済連携(RCEP)を想定すれば、なるべく早期にアジア各国との立地競争力をできるだけ縮めておく必要がありそうです。

■財源がハードルに
「アベノミクス2.0」は名目GDP600兆円を目標に掲げ、政府は企業に積極的な投資を促しています。経済界は目標を達成するためにも法人実効税率の引き下げ等を先行させるよう要求しています。法人実効税率の引き下げは税収を大幅に減少させるため、それをカバーする財源がハードルとなりそうです。

(2015年10月23日)

印刷用PDFはこちら

今日のキーワード 「法人実効税率」の引き下げ(日本)

関連マーケットレポート

2015年10月20日 「アベノミクス2.0 新三本の矢」(日本)

2015年10月14日 TPP交渉が大筋合意へ

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会