「物価」下落でも基調はしっかり?(日本)

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モノやサービスの値動き、つまり「物価」を見るには、総務省が発表する「全国消費者物価指数(CPI)」が参考になります。CPIの動きはこのところ低調で、8月は、変動の大きい生鮮食品を除いて前年比マイナスとなりました。マイナスとなるのは、日銀が異次元の金融緩和を導入した2013年4月以来2年4カ月ぶりです。日銀は、物価安定の目標、消費者物価の上昇率2%を2016年度の前半に達成することを目指しています。

【ポイント1】8月のCPI(生鮮食品を除く)は前年比▲0.1%

エネルギーを除いた物価の基調は上昇傾向
■パンやチョコレートなどの食品、輸入品が多い衣料品など、生活に密着したモノの値段は上がっています。これらは、円安による原材料や輸入価格の値上がりによるものです。CPIのマイナスは、こうした庶民感覚とずれているように感じられますが、CPIを押し下げているのは、原油安の影響です。
■8月のCPIを費目別にみると、電気代が前年比▲5.1%、都市ガス代が同▲9.5%と下落したほか、ガソリンが同▲17.8%大きく下落し、CPIを押し下げました。これら「エネルギー」関連を除くCPIは、上昇率が徐々に上向いており、「物価」が上がっているという感覚に近づきます。

【ポイント2】緩やかな上昇が継続

16年度前半の目標達成は困難?
■日銀は、7月の金融経済月報で、CPI(生鮮食品を除く)からエネルギーを除いた指数を独自に計算し公表しています。8月分は未公表ですが、黒田総裁は25日、「エネルギーを除くと1.1%くらい」と述べており、この新指数を見積もったものと考えられます。
■この新指数などエネルギーを除いたCPIは、今年3月以降上昇傾向を示し、日銀の目標2%にむけ、緩やかに上昇しつつあります。ただし、政策目標は、あくまでエネルギー込みのCPI(生鮮食品を除く)です。

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【今後の展開】日銀は、物価見通しを引き下げ、追加緩和に踏み切る可能性も

■10月30日の「展望レポート」で見通し修正か
黒田総裁も指摘しているように、原油価格次第では、目標とする2016年度前半の達成は難しそうです。10月2回目の日銀会合(30日)では、同時に公表される「展望レポート」で見通しの修正があるか注目されます(10月1回目は6日~7日)。

■早ければ10月の日銀会合で追加緩和も
景気が足元で足踏み状態にあり、政策目標の「物価」の動きが緩慢ななか、補正予算による景気対策や追加金融緩和への期待が高まっています。早ければ10月の日銀会合で何らかの動きがあるかもしれません。

(2015年9月29日)

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