最近の指標から見るブラジル経済(2015年9月)~中銀は物価抑制に向け通貨安定化策を再開~
最近の指標から見るブラジル経済(2015年9月)~中銀は通貨安定化策を再開~
【ポイント1】消費と生産が依然低迷
内需、外需ともに弱い状況
■7月の実質小売売上高は前年同月比▲3.5%、同月の鉱工業生産指数は同▲8.9%と、ともに前月からマイナス幅が拡大しました。
■物価高による実質所得の減少(7月は同▲3.5%)、ブラジル中央銀行(以下、中銀)の利上げ、輸出の不振(8月は同▲24.3%)などから、景気は低迷が続いています。
【ポイント2】利上げは打ち止め
レアル安で物価高懸念は根強い
■中銀は、政策金利を7月29日の会合で0.50%引き上げ14.25%とし、9月2日の前回会合では据え置きとしました。中銀は、物価を2016年末に目標(年+4.5%)に落ち着かせるためには、現行の金融政策を十分に長期にわたり維持する政策が適切と考えています。
■9月前半の消費者物価指数は、前年同月比+9.57%と高止まりました。政情不安、財政不安、相次ぐ国債の格下げ、などからブラジルレアルが大きく下落しており、通貨安の影響から物価高が長引く懸念が根強い状況です。
【今後の展開】財政再建への信任と中銀の通貨政策がレアル安定化のカギ
■23日、中銀は、4月以降中止していた通貨スワップ取引の新規入札を再開しました。24日は、同取引が連日で実施されたことから、中銀が通貨安定化に乗り出したとの見方が強まり、レアルは対円で大きく上昇(前日比+5.4%)しました。
■景気低迷が長引くなか、野党からルセフ大統領の罷免を模索する動きが出るなど、政治的不透明感も強まっています。大統領は財政再建を続ける姿勢であり、政府への信任と中銀の通貨政策がレアル安定化のカギとなりそうです。
(2015年9月25日)
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