今後、存在感増すアジアへの「観光客」(アジア)
<今日のキーワード>今後、存在感増すアジアへの「観光客」(アジア)
国連世界観光機関(UNWTO)は今年6月、2014年の国際観光に関する動向と今後の予測をまとめた「ツーリズム・ハイライト(2015年)」を発行しました。それによると、2014年の海外からの「観光客」は、世界全体で前年から4.3%伸び、11億人を超えました。そのうち、主要先進国への「観光客」の伸びは5.8%と、新興国の2.4%を上回りました。北米と日本への「観光客」の伸びが特に高くなっています。 |
【ポイント1】米州とアジア・太平洋への「観光客」が大きく伸びる
受入国のランキングで日本は22位
■2014年の海外からの「観光客」の伸びを地域別に見ると、米州が前年比+8.0%、アジア・太平洋が同+5.4%と高い伸びになりました。そのうち、北米が同+9.2%、日本が同+29.4%と際立っています。日本は、政府の施策や円安などが貢献し、主要先進国の中では最も伸び率が高くなっています。
■2014年の「観光客」受入国ランキングでは、1位から9位までの顔ぶれに変動はなかった一方、日本は、前年の27位から22位に順位を上げています。政府目標の年間2,000万人達成は、2014年のランキングに当てはめると16位に相当します。
【ポイント2】観光収入は全体で3.7%増加
中国からの支出は27%増
■一方、地域別の観光収入の伸び(世界全体で同+3.7%)を見ると、新興国地域での収入の伸び(同+4.6%)が、先進国地域(同+3.2%)を上回りました。観光市場としては、新興国地域の成長が高かったことになります。
■出発国別では、中国からの「観光客」の支出が、同+27.1%と高い伸びでした。今年以降、中国の景気減速の影響が、こうした「観光客」の支出に見られるかが注目されます。
【今後の展開】アジア・太平洋地域への「観光客」の伸びが最大、経済成長に貢献
■2020年までの「観光客」の伸びは3.8%
UNWTOの「ツーリズム・ハイライト(2015年)」は、「観光客」の長期的な予測を示しています。それによると、2010年から2020年までの「観光客」の増加率は、年率で3.8%としています。そのうち新興国への「観光客」は4.9%と底堅い伸びとなる見込みです。
■アジア・太平洋への「観光客」の伸びが最大
「観光客」の長期予想を地域別に見ると、アジア・太平洋地域が最大の伸び(同5.7%)となっています。アジア・太平洋地域は、中間所得層の拡大などから内需の成長性が高いうえ、観光という外需の成長も貢献し長期的に高い経済成長を維持しそうです。
(2015年9月25日)
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