インドで大規模ストライキ、市場への影響は限定的

インドで大規模ストライキ、市場への影響は限定的

【ポイント1】労組主導で大規模スト

市場への影響は限定的

■9月2日、政府が検討中の労働法改正などに反対する全国規模のストライキが発生しました。主導した労働組合側の発表によると、参加人数は1億5千万人と、人口の1割以上にのぼりました。
■株式市場(CNX NIFTY指数)は、2日に前日比▲0.9%、3日に同+1.4%となり、ストライキの市場への影響は今のところ限定的です。

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【ポイント2】公務員などが改革に反対

野党による選挙対策の色彩も

■今回の大規模ストライキには幅広い産業から参加があり、特に公務員などの労組が中心になった模様です。政府が進める労働法改正や民営化が労働者を解雇しやくするとの見方などから、改革を拒む動きが一部に根強いことがうかがわれました。
■一方、モディ政権の進める改革は、外資の参入促進や企業の生産性向上を通じて成長を高めると市場から評価されています。国民の間でも、改革反対は一部既得権益層の抵抗に過ぎないとの見方があり、限定的な市場の反応につながったと思われます。
■今回のストライキは、党勢回復を目指す野党が主導したといわれています。10月から11月にビハール州で議会選挙が予定されており、政府批判をあおることで与党インド人民党(BJP)の支持低下を狙う野党の戦略と指摘する見方もあります。
■BJPは下院で過半数を占める一方、上院では少数にとどまっています。上院の議員は2年に1度、3分の1ずつ州議会議員による間接選挙で改選されます。上下院のねじれがあるなか、地方を舞台に、国政をにらんだ与野党の攻防が激しくなっています。

 

【今後の展開】構造改革の足踏みが株式市場の不安要因、利下げ期待が下支え

■7月から8月に開催された国会では、野党の反対から、税制の簡素化に大きな効果が期待される物品・サービス税(GST)の審議が暗礁に乗り上げました。BJPは臨時国会か次期通常国会(12月に開催の見込み)などでの成立を目指していますが、進展は不透明な状況です。
■足元では、構造改革足踏みとの懸念が株式市場の上値を重くする一方、物価安定を背景とした中銀(RBI)による利下げへの期待が下支えする構図になっています。市場は、構造改革の進展を見守りながら、RBIの金融政策見直し(9月29日)に注目する展開となりそうです。

 (2015年9月4日) 

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