ECBは金融緩和の強化を示唆
ECBは金融緩和の強化を示唆
【ポイント1】政策金利は現状維持
市場は、ユーロ安、株高の反応
■欧州中央銀行(ECB)は3日、政策金利、預金金利を、それぞれ0.05%、マイナス0.20%に据え置くことを決定しました。また、3月から開始した月600億ユーロの国債などの購入策を2016年9月まで継続する方針を維持し、必要に応じて緩和措置を強化する意向を示しました。
■今回の決定やドラギ総裁の記者会見を受けて、為替市場ではユーロ安、債券市場ではドイツ国債の利回り低下、株式市場では株高となりました。
【ポイント2】見通しを下方修正
物価は足元低位で推移
■ECBは、GDP成長率と物価見通しを下方修正しました。成長率の引き下げは、新興国経済の減速から外需の見通しが引き下げられたことが要因です。物価は、原油安から見通しが引き下げられました。
■ユーロ圏は、4月に消費者物価上昇率がマイナス域を脱したものの、その後は原油安などの影響から、8月は前年同月比+0.2%の上昇にとどまり、物価は低位で推移しています。
【今後の展開】物価と景気の一層の下振れ時には、量的金融緩和を強化
■原油安による物価上昇率のさらなる低下や、中国を始めとした新興国経済の下振れリスクが、前回の理事会以降で強まっているとドラギ総裁は記者会見で指摘しました。リスクが一層強まると、国債などの月額購入額の引き上げや、期限の延長などの金融緩和強化が見込まれます。
■ドイツ国債の利回りは、金融緩和の強化も期待され、低位での推移が見込まれます。為替市場では、米国の年内利上げ観測から、ユーロは対米ドルで軟調に推移すると見込まれます。株式市場では、金融緩和強化への期待や、堅調な企業業績を背景として、底堅い展開が予想されます。
(2015年9月4日)
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