足元の金融市場動向、中国の景気改善を見極める展開へ

足元の金融市場動向、中国の景気改善を見極める展開へ

【ポイント1】週明け後も世界同時株安の様相が一段と強まる

■週明け24日の世界の金融市場では、前週に続きリスク回避の動きが一段と強まっており、投資マネーの安全資産への流入が続いています。これは中国の景気減速懸念や米国の利上げ観測など、不確実性の高まりが投資家心理を悪化させていることが影響しています。一部には、1997年のアジア通貨危機の遠因が1994年の人民元切り下げだったと指摘する向きもあり、リスク回避の動きが加速しています。
■原油など天然資源の一大消費国である中国の景気減速懸念は、関連市場や新興国の景気見通しにも影響を与えています。WTI原油先物価格は8月24日に一時1バレル=37ドル75セントの安値を付け、資源国や中国と経済的結びつきが強いアジア諸国で株式や通貨の下落が加速しています(図表1)。
■一方、投資マネーの逃避先としては、円、ユーロ、金、国債などが選好されています(図表2)。
■一般に、投資家が不確実性の高まりに対してリスクを圧縮することは合理的な行動と言えます。足元では米国の利上げ開始への警戒感に、中国での株価急落や通貨切り下げという新たな材料が加わったことにより、先行き不透明感が一気に増し、リスク回避の動きにつながっています。

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【ポイント2】25日の日本の株式市場は乱高下し、明確な底入れは確認されず

■25日の日経平均株価は、前日比790円を超す下げから反発し、一時同290円を超す上昇となった後、再び下げ足を速め、終値は同730円以上安く引けました。上海総合指数もこの日、日本時間の16時時点で8%以上の下落と下げ止まっておらず、世界の市場が全体として落ち着きを取り戻すまでにはもう少し時間を要すると考えられます。

 

【今後の展開】先進国の緩和的金融環境が金融市場を下支え、中国の景気改善見極めへ

■中国の景気は、製造業の構造調整などを背景に、今後数年間にわたり鈍化基調と見込まれます。短期的には金融緩和や財政支出の強化、通貨安の効果などにより一旦下げ止まると見込まれます。その見極めには固定資本投資などの今後の経済指標を確認していく必要があります。
■一方、先進国では、低インフレ下での景気拡大と長期金利の低位安定、企業収益の拡大、日欧での積極的な金融緩和が見込まれ、中国や新興国経済減速の影響によりやや鈍化するものの、底堅い成長が持続する見込みです。米国の利上げについては、世界的な景気の減速見通しや、資源価格の下落、今回の市場の混乱などを踏まえると、9月開始の可能性は、非常に低くなったと考えられます。
■株式市場は、リスク要因に対する過剰な反応もあり、悪材料の織り込みは相当程度進んでいると考えられますが、中国経済の改善を示す材料が明らかになるまで神経質な相場展開が見込まれます。為替市場については、リスク回避の円高が進行していますが、主要な変動要因である日米金利差、日本の経常黒字、日銀とFRBの金融政策の方向性の違いは変わらないため、市場全体の落ち着きとともに安定化すると見込まれます。

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 (2015年8月25日) 

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