ギリシャへの「第3次金融支援」実行(欧州)
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「第3次金融支援」がギリシャと欧州連合(EU)で合意されました。20日にギリシャは、まず130億ユーロの融資を受け、当面の資金繰りに目途がつきました。ギリシャはユーロ圏に残ることを優先したことから、ギリシャとEUとの信頼が再構築されつつあります。今後、金融支援の条件である緊縮財政の着実な実行により、EUや国際通貨基金(IMF)の支援拡大が期待されます。 |
【ポイント1】ギリシャの当面の資金繰りに目途
緊縮財政の着実な実行が求められる
■6月末にEUの第2次金融支援が終了し、ギリシャ政府が反緊縮財政を掲げたため、デフォルト(債務不履行)懸念が高まりました。しかし、ギリシャはユーロ圏に残ることを優先する方針を明確にし、緊縮財政を実行に移したため、EUも歩み寄り、今回の合意に達しました。
■今回の合意で、ギリシャは最大860億ユーロの支援を受けることが可能です。資金の使途は、政府の定例的な支払いの他、債務返済や銀行の資本増強などに利用可能です。一方、ギリシャは、今後数年をかけて、歳出の削減や国有資産の売却により、財政収支の黒字化に向けて、緊縮財政を着実に実行することが求められます。
【ポイント2】9月に総選挙実施へ
首相方針への反対議員排除が狙い
■チプラス首相は20日、解散総選挙を実施するために辞意を表明しました。緊縮財政の実行により負担が増す国民や与党内の一部の不満が根強く、政策運営に支障をきたしていることが背景です。首相の個人的な人気は高いとされ、国民の支持を背景に、政権基盤を固める狙いと見られます。
■総選挙の実施は9月20日が有力と報道されています。
【今後の展開】緊縮財政を実行する限り、ギリシャ不安が高まるリスクは大きく後退
■IMFの支援再開のハードルは高い
IMFが支援の前提としている債務の一部減免は、今回の合意に含まれず、今秋以降に先送りされています。EUの基本条約は、他国への財政支援を認めておらず、その変更には複雑な手続きが必要です。IMFの第2次支援の期限は来年3月であり、第2次支援の枠組み内でそれまでのギリシャ支援が可能との見方もあります。
■ギリシャの銀行は資本増強へ
現在、欧州中央銀行(ECB)はギリシャの銀行の査定を行っています。10月末までに結果が公表される予定です。その結果、資本増強が実施されれば、銀行の健全性が向上し、欧州の金融システムへの懸念は一層後退する見込みです。ギリシャが、合意内容や緊縮財政を着実に実行する限り、ギリシャ不安が高まるリスクは大きく後退したと見られます。
(2015年8月24日)
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