日銀政策と「消費者物価」(日本)

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総務省が発表する「全国消費者物価指数」には、①「総合指数」、②「生鮮食品を除く総合指数」、③「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数」があります。日銀は物価安定の目標として、消費者物価の前年比上昇率2%を設定し、経済・物価情勢の展望(展望レポート)で、②「生鮮食品を除く総合指数」の見通しを公表しており、この指数が政策運営の目安と考えられています。

【ポイント1】日銀はエネルギーを除く新指数を公表

エネルギーを除いた物価の基調は上昇傾向
■日銀は7月の金融経済月報で、②「生鮮食品を除く総合指数」からエネルギーを除いた新しい物価指数を独自に計算し、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数」として公表しました。エネルギーを除いたのは、原油価格の大幅な下落の影響を除くためと思われます。
■日銀は、エネルギーを除いた物価の基調は改善傾向という見方を示しています。加工食品などを中心に値上げが続いたことから、エネルギーを除いた新しい物価指数では、3月以降上昇傾向を示し、日銀の見方を裏付ける形となりました。
■ただし、政策に一貫性を持たせるために、日銀は今後も②「生鮮食品を除く総合指数」を重視する姿勢を変えないと見られます。

【ポイント2】物価は年後半、緩やかな上昇へ

2016年度前半の達成は厳しいという見方も
■②「生鮮食品を除く総合指数」の前年比伸び率は、原油安の影響で目先、低調な数字が見込まれます。しかし、年後半には、原油安の物価下押し圧力の後退や賃上げ効果が見込まれることから、緩やかな上昇が見込まれます。
■現状は日銀の想定通りの動きとなっていますが、2016年度前半頃に物価が2%程度に達するという目標の達成は厳しいという見方もあり、日銀の物価見通しや政策の変更があるか注目されます。

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【今後の展開】物価は徐々に上向くが、2%の目標達成は後ずれへ

■直ちに追加緩和を行う必要性は小さい
一般に物価目標は政策の透明性を高めるものとして位置付けられています。そのため物価目標を採用する中央銀行の多くは、足元の物価が目標から一時的にかい離しても、金融政策を柔軟に運営しています。これにならえば、原油安など明確な理由があれば、物価の伸びが鈍化しても、日銀が直ちに追加緩和を行う必要性は小さいと考えられます。

■物価目標の達成時期は後ずれの可能性も
日銀は、物価目標の達成時期を2016年度前半頃としており、物価の伸びが弱いまま時間が経過すれば、市場で追加緩和の思惑が強まります。日銀が達成時期にこだわるのは、デフレマインドを抜本的に転換させる必要があったからと見られます。すでにデフレからは脱しており、目標達成時期を後ずれさせる可能性が高まっています。

(2015年8月13日)

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