中国、人民元を切り下げ、輸出振興により製造業強化へ

中国、人民元を切り下げ、輸出振興により製造業強化へ

【ポイント1】対米ドルで2%近く切り下げ

製造業の競争力強化へ

■中国人民銀行(中央銀行)は11日、人民元の対米ドルレートの算定基準を変更し、前日に比べて2%近く引き下げたと発表しました。この措置は、人民元の切り下げにあたります。
■中国は2005年以降、対米ドルレートを元高方向に誘導してきましたが、2014年1月以降はこれを事実上停止していました。日ごとの変動幅は上下2%以内しか認められていませんが、3月以降は1米ドル6.2元程度にほぼ固定されていました。
■7月の中国の輸出は、前年同月比▲8.9%と大きく落ち込みました。今回の切り下げで、輸出振興により製造業の競争力を強化し、景気のてこ入れを図る狙いがあると見られます。

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【ポイント2】アジアの主要通貨は下落

元安はアジア諸国の輸出にマイナス

■今回の措置を受けて、アジア諸国の通貨は対米ドルなどで下落しています。人民元安は、アジア諸国の輸出にとって不利に働く面があるため、景気の先行きに不透明感が広がったことが背景と見られます。
■景気の先行き不透明感が増したことで、アジア諸国の株式市場も、中国本土、香港市場などを除き、軟調な展開となっています。

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【今後の展開】人民元の「市場化」へ向けた改革が一歩前進

■中国人民銀行は、元の実質実効レートが各通貨に対し、市場の期待とかけ離れているとの認識を示しました。また、人民元の「市場化」へ向けた改革を継続する方針を示したことから、追加の切り下げも想定されます。今回の切り下げと合わせて一定の「市場化」を容認することで、新たな通貨体制への移行が進んだとの見方もあります。
■中国の景気は、追加金融緩和などの政策余地が大きく、過度の減速は回避されそうです。今回の人民元切り下げも景気にはプラスと考えられます。ただし、中国の内需が大きく減速すると世界経済への影響も大きいため、財政措置などによる内需のてこ入れ策追加への期待が足元で高まっています。

 (2015年8月11日) 

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