「ROE」向上へ、取り組み本格化(日本)

2015/07/29

<今日のキーワード>「ROE」向上へ、取り組み本格化(日本)

「株主資本利益率(ROE)」は、株主資本(自己資本)に対して、企業がどれだけ利益を上げているかを示す指標です。「ROE」が高い企業ほど、同じ株主資本に対して多くの利益を生み出していると言えます。企業の収益性や資本の効率性を測る指標のひとつです。企業経営者にとっては、株主資本を効率的に使用しているかを見る尺度として重要です。

【ポイント1】 アベノミクスも注目

「生産性の向上」へむけさまざまな施策
■「日本再興戦略」改訂2015では、「生産性の向上」が政策の中心に据えられました。生産年齢人口が減少する中で、経済全体の生産性を向上させることを重要視しています。
■企業レベルの生産性向上は、まさに「ROE」の向上が第一の施策になると考えられます。欧米企業と比較してまだ低い水準にある「ROE」を向上させるべく、アベノミクスでは企業の「稼ぐ力」を取り戻すための、ITの強化や規制緩和など様々な施策を行う予定です。

【ポイント2】 2つの指針で企業の「稼ぐ力」向上

日本企業の「ROE」向上余地は大きい
■昨年、生命保険会社や資産運用会社などの機関投資家が株主として責任を持って行動する指針「スチュワードシップ・コード」が制定されました。今年6月には上場企業が企業価値向上のために責任を持って行動する指針「コーポレートガバナンス・コード」が適用されました。企業と投資家との対話が活発化し、「稼ぐ力」、「ROE」の向上が図られることが期待されます。
■「ROE」は利益を株主資本で割って算出します。「ROE」向上には、一定の株主資本のもとで利益を増やすか、一定の利益を出す状況で株主資本を減らすか、その両方を図るかによります。日本企業は近年、利益を内部留保として資本に積み上げてきたため、これを配当や自社株買いなどの株主還元に充て株主資本を減らすことで「ROE」を向上させる余地が大きいとされます。

 150729MK

【今後の展開】 中長期的な「ROE」向上には、企業と株主の前向きな「対話」が不可欠

■2015年度の「ROE」は9.5%に上昇
主要企業216社(*)の2015年度の「ROE」は9.5%と前年度から1.3ポイント上昇する見込みです。株主還元の増加に加え、円安などを背景に過去最高を更新する利益の増加が主要な要因です。中長期的な「ROE」の上昇には、さらに資本効率向上にむけた企業の取り組みが重要です。

(*)当社が主に調査対象とする企業

■企業の取り組みを促す投資家との「対話」
今年は、2つの指針が整ったことで、「ガバナンス元年」とも呼ばれています。「ROE」向上により、中長期的な企業価値の向上にむけた前向きな「対話」ができるか、投資家と企業の取り組みに注目が集まります。

(2015年7月29日)

印刷用PDFはこちら

→http://www.smam-jp.com/market/report/keyword/__icsFiles/afieldfile/2015/07/28/150729mk.pdf

関連マーケットレポート

2015年07月15日 日銀は現行政策を維持、景気と物価の見通しを下方修正)

2015年07月02日 「日本再興戦略」改訂2015(日本)

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
三井住友DS マーケット・レポート   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ