「イラン核協議」と原油相場(グローバル)

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イランの核問題を協議していたイランと欧米6カ国は7月14日、解決に向けた最終合意に達しました。これにより、イランは長期間にわたって核開発を制限される代わりに、国連安全保障理事会や米国、欧州などによる経済制裁が段階的に解除される見通しです。なお経済制裁が解除され、イラン産原油の輸出が増加した場合、原油相場にも影響が生じる可能性があります。

【ポイント1】イランの核開発疑惑は2002年に発覚

国連と米国、欧州は経済制裁で対処

■イランの核開発疑惑は2002年に発覚しました。イランの反体制派は2002年、同国に秘密の核施設があることを公表すると、危機感を強めた欧米諸国は2003年にイランとウラン濃縮活動の一時停止で合意しました。その後2006年にアフマディネジャド前大統領がウラン濃縮を再開すると、国連安全保障理事会は4回にわたって経済制裁決議を採択しましたが、イランは濃縮活動を継続しました。

■これに対し米国は2012年にイラン原油制裁法を発効させ、欧州連合(EU)も同年イラン産原油の禁輸を実施しました。その結果イラン経済は困窮し、早期の経済制裁解除の必要性に迫られていたことが今回の合意の背景にあります。

【ポイント2】今回の合意は原油安要因に

米中材料も重なりWTIは50ドル割れ

■イランの経済制裁解除で原油供給量が増加するとの見方から、核協議の合意は原油安要因として受け止められています。原油価格の代表的な指標であるWTI原油先物価格は、7月22日に一時1バレル=49ドル04セントまで下落しました。

■ただ足元の原油安は、中国の景気減速による原油需要の減少という思惑や、米国の利上げによる過剰流動性の縮小という懸念が重なったことも影響していると思われます。

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【今後の展開】原油価格の低位安定は日本など原油輸入国にとって大きな恩恵

■イランの原油輸出はすぐには再開されない

経済制裁の解除は、国際原子力機関(IAEA)がイランの核開発に関する査察を行い、12月15日までに提出する報告書に基づいて行われることになります。また米国では経済制裁の解除にあたり、議会の承認が必要になります。そのためすぐにイランの原油輸出が再開し、需給が悪化することはありません。

■ただ制裁解除の動きは原油相場の重しに

ただ経済制裁解除に向けた動きは、将来の需給悪化を織り込む形で原油相場の重しとなる可能性があります。しかしながら原油が短期間で急落することなく低位で安定推移する限りにおいては、日本など原油輸入国にとっては大きな恩恵となるため、世界全体でみれば緩やかな経済成長を支える方向に作用すると思われます。

(2015年7月24日)

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