「モンスーン国会」注目の改革法案(インド)

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インドでは、7月21日から8月13日まで国会の会期にあたります。例年、夏季に開催されるこの国会は、その時期の天候にちなみ「モンスーン国会」と呼ばれています。今回の「モンスーン国会」では、モディノミクスによる構造改革の目玉とされる財・サービス税(GST)導入法案の上院通過(下院は通過済み)と、土地収用法の改正案の成立が期待されています。

【ポイント1】GSTの導入法案は上院通過へ

与野党間で移行措置などの協議が進む
■ GSTの導入法案は、これまで州毎に設定されていた物品の販売などにかかる間接税を、全国的に統一することを目的としています。この法案が成立すると、企業の納税の手間が大幅に削減され、事務コストの低下や外資系企業の進出促進につながると期待されています。
■ GSTの導入により、税収に州間格差が生じるとの批判があります。報道によると、こうした格差を調整する移行措置について与野党が協議を進めており、今国会での上院通過が濃厚です。成立には上院通過後に過半数の州の承認が必要となります。

【ポイント2】土地収用法改正は難航

根強い野党の反対
■ 土地収用法の改正案には、開発事業などの用地取得に必要な地権者の同意基準の緩和などが盛り込まれています。インフラ整備が進むとの期待がある一方、個人の権利が抑えられるとの批判もあり、モディ政権はこれまで政令による時限的な措置で土地開発の活性化を図ってきました。
■ 今国会では、法律改正で時限措置の恒久化が図られる見込みですが、野党は地権者保護などを理由に反対姿勢を崩していません。審議が難航し、今回も政令の更新にとどまるとの見方もあります。

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【今後の展開】土地収用法の改正が景気活性化のカギ

■汚職疑惑を巡る与野党の争いが審議に影響か
足元では、一部閣僚に汚職疑惑が浮上し、野党がその辞任を求めて法案審議を阻止する姿勢を示しています。こうした野党の姿勢を受けて、政府・与党はGSTの導入法案の上院通過を最優先に取り組み、反対の強い土地収用法の改正案を先送りする可能性もあります。

■モディノミクス停滞懸念の払しょくへ
モディ首相は昨年5月の就任以来、投資規制の緩和やトップセールスによる外資誘致などを進め、景気の活性化期待が高まりました。ただし、最近は構造改革が遅れていれるとの指摘があります。「モンスーン国会」で土地収用法の改正案が成立すれば、モディノミクス停滞懸念が払しょくされ景気への期待が高まると思われます。

(2015年7月23日)

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