「ASEAN経済共同体」が年末に発足(アジア)

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東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国は、2015年末に「ASEAN経済共同体(AEC)」を発足させる計画です。AECは、モノ、サービス、ヒト、カネ(投資)が、共同体の中で自由に移動できるようにする経済協力の枠組みです。ASEANは、これまでの政治的な地域協力機構としての性格から、幅広い分野で経済統合を目指す「共同体」創設へと向かう大きな節目を迎えています。

【ポイント1】関税撤廃品目は、すでに全体の96%

貿易手続きの円滑化でも進展
■域内貿易の自由化は、関税の撤廃や貿易手続きの円滑化、非関税障壁の削減などによって進められています。このうち関税については、物品貿易協定に基づき、先行加盟6カ国(インドネシア、マレーシア、タイ、シンガポール、フィリピン、ブルネイ)で2010年までに原則としてすべて撤廃、後発加盟4カ国(カンボジア、ベトナム、ラオス、ミャンマー)でも順次削減が進み、全体として全品目の96%が撤廃されています。
■貿易手続きの円滑化のカギを握るのが、ASEANシングル・ウインドー(ASW)の構築と言われています。これは、通関手続きの電子化や、情報の単一サイトへの一元化により、企業の活動を効率化する取り組みです。すでに一部で国ごとの運用を開始しており、単一サイト構築に向け前進しています。ASW構築で、企業の情報アクセスの利便性が向上し、貿易の活発化が期待されます。

【ポイント2】非関税障壁の削減に遅れ

統合と逆行する動きも
■一方、輸入規制などの非関税障壁の削減は遅れています。一部の国では、輸入検査の義務化や国内規格の事前取得制導入など、自由化と逆行する動きも見られます。
■また、小売業など特定のサービス分野における外資規制の緩和や、ヒトの移動に関する調整(専門資格の相互承認)など、各国の事情により遅れている分野も散見されます。今後の統合深化に向けた課題は少なくないようです。

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【今後の展開】「生産基地」としての競争力に加え、6億人の消費市場としての魅力も

■域内人口は6億人、欧州連合を超える
「経済共同体」として統合が深化するにつれ、貿易品目の増加や輸出地域のグローバルな拡大が期待され、「生産基地」としての競争力が増しそうです。加えて、域内約6億人の消費市場としての重要性も高まっています。統合深化が進むにつれ、日本企業の進出が活発化することも期待されます。

■2016年以降も統合深化のプロセスが進む
モノの貿易自由化は、先行して進んでいますが、サービス分野、ヒトの移動、カネ(資本)の移動の自由化は今後の課題です。年末の「経済共同体」発足後も、発展段階の異なる加盟国間で、これらの課題が調整されながら、統合深化のプロセスが進むものと見込まれます。

(2015年7月14日)

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