米国の債券市場(2015年7月)~米国債市場は欧州情勢に左右される展開~
米国の債券市場(2015年7月)~米国債市場は欧州情勢に左右される展開~
【ポイント1】10年国債利回りは6月に上昇
月後半は「質への逃避」の動きが強まる
■6月の米国10年債利回りは、景気の持ち直しを示唆する指標の発表が相次いだことや、ドイツの長期金利が急上昇したことなどを受けて、初旬に約9ヵ月ぶりの水準となる2.50%近くまで上昇しました。その後はギリシャの債務不履行懸念が強まったことから、「質への逃避」の動きが強まり、低下傾向となりました。月末は2.35%(前月末比+0.23%上昇)でした。
■米連邦準備制度理事会(FRB)は6月16日、17日の連邦公開市場委員会(FOMC)で金融政策の現状維持を決定しました。FOMC声明も景気の現状判断を上方修正した以外に大きな変更はありませんでした。
【ポイント2】米社債スプレッドは拡大
日米短期金利差は緩やかな拡大継続
■「質への逃避」の動きが強まったため、米社債スプレッド(国債との利回り差)は小幅に拡大しました。
■短期金利の動きをロンドン銀行間取引金利 (LIBOR)でみると、米国の短期金利が上昇したのに対し、日本の金利が低下したため、日米金利差は若干拡大しました。
【今後の展開】米国債利回りは景気指標や欧州情勢に左右される展開が継続
■6月以降に公表された雇用や個人消費関連の統計、ISM景況感指数などは、1-3月期に落ち込んだ景気の持ち直しを示すものでした。
■景気の改善を受け、ギリシャや中国の情勢次第という面はありますが、年内に金融緩和の解除が開始される可能性が、一段と高まったと考えられます。
■ただ、物価が落ち着いていることなどから、利上げの速度は緩やかなものにとどまり、国債利回りの上昇も緩やかとなる見通しです。
■当面は、ギリシャの債務問題を背景に逃避的な資金の流入も見込まれ、米国債利回りは景気や物価関連指標、欧州情勢に左右される展開が継続すると予想されます。
(2015年7月10日)
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