「消費者物価」は緩やかな上昇へ(日本)

「消費者物価」は緩やかな上昇へ(日本)

消費者が購入する物やサービスの価格動向は、総務省が毎月発表する「消費者物価指数(CPI)」で把握することができます。そのなかで価格の変動が大きい生鮮食品を除いた総合指数は「コアCPI」と呼ばれ、物価の基調を見る上で注目されています。「CPI」は消費者の購買行動の変化や、新しい商品・サービスなどに対応するため5年に1度改定され、来年7月から新基準の指標となります。

【ポイント1】 5月の「コアCPI」は小幅に上昇

食品価格などの上昇を原油価格の下落などが打ち消す

■5月の「コアCPI」は、前年の同じ月と比べ0.1%の上昇となりました。デフレは脱却しつつあるものの緩慢な動きにとどまりました。昨年夏頃から大きく下落した原油価格の影響により「エネルギー」関連の品目が低下したことが影響しています。加工食品などの値上げにより「生鮮食品を除く食料」の上昇傾向は続いていおり、「エネルギー」を除いた物価の基調は小幅ながら上昇傾向にあると見られます。

【ポイント2】 前回の基準改定は技術進歩が押し下げ要因に

新基準は住宅リフォームなどが追加

■「CPI」の新基準の内容が、今年7月に公表されます。前回の2010年の改定では、重要度が低くなったワープロなど48品目が整理統合され、重要度の高まった薄型テレビなど34品目が追加されました。技術進歩で価格低下傾向が強い、薄型テレビ、携帯電話が追加されたこともあり、前回の基準改定は「CPI」の押し下げ要因となりました。
■今回の改定は、日本経済新聞社によると、住宅のリフォームや空気清浄器などが新しく追加され、ポットなどの消費が減った商品が外れる見込みです。新基準は住宅のリフォームなど最近値上がりしている品目の比重が高まり、「CPI」を小幅に押し上げる要因となりそうです。

 150629MK

【今後の展開】 物価上昇率は当面0%程度で推移し、その後緩やかな上昇へ

■2%の目標達成は厳しいとの見方も
日銀は、エネルギー価格の下落の影響から物価上昇率は当面0%程度で推移し、原油が今後緩やかに上昇することなどにより、2016年度前半頃に2%程度に達するという見解を示しています。現状は日銀の想定通りの動きとなっていますが、見通し達成は厳しいという見方もあり、物価見通しや政策の変更があるか注目されます。

■経済成長に沿った物価上昇の定着に期待
消費は、消費税増税の影響が一巡し、賃上げと物価の落ち着きから、回復基調が強まりそうです。また、企業収益の拡大を背景に、設備投資の意欲も高まっており、景気回復が強まる見込みです。原油の大幅な価格変動がなければ、年後半以降は緩やかな経済成長に沿った物価上昇の定着が期待されます。

(2015年6月29日)

印刷用PDFはこちら

→http://www.smam-jp.com/market/report/keyword/__icsFiles/afieldfile/2015/06/26/150629mk.pdf
 

関連マーケットレポート

2015年06月24日 日本株、ITバブル期の高値を上回る

2015年06月23日 「外国人旅行者」、年1,800万人超のペース(日本)

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会