「消費者物価」は緩やかな上昇へ(日本)

2015/06/29

「消費者物価」は緩やかな上昇へ(日本)

消費者が購入する物やサービスの価格動向は、総務省が毎月発表する「消費者物価指数(CPI)」で把握することができます。そのなかで価格の変動が大きい生鮮食品を除いた総合指数は「コアCPI」と呼ばれ、物価の基調を見る上で注目されています。「CPI」は消費者の購買行動の変化や、新しい商品・サービスなどに対応するため5年に1度改定され、来年7月から新基準の指標となります。

【ポイント1】 5月の「コアCPI」は小幅に上昇

食品価格などの上昇を原油価格の下落などが打ち消す

■5月の「コアCPI」は、前年の同じ月と比べ0.1%の上昇となりました。デフレは脱却しつつあるものの緩慢な動きにとどまりました。昨年夏頃から大きく下落した原油価格の影響により「エネルギー」関連の品目が低下したことが影響しています。加工食品などの値上げにより「生鮮食品を除く食料」の上昇傾向は続いていおり、「エネルギー」を除いた物価の基調は小幅ながら上昇傾向にあると見られます。

【ポイント2】 前回の基準改定は技術進歩が押し下げ要因に

新基準は住宅リフォームなどが追加

■「CPI」の新基準の内容が、今年7月に公表されます。前回の2010年の改定では、重要度が低くなったワープロなど48品目が整理統合され、重要度の高まった薄型テレビなど34品目が追加されました。技術進歩で価格低下傾向が強い、薄型テレビ、携帯電話が追加されたこともあり、前回の基準改定は「CPI」の押し下げ要因となりました。
■今回の改定は、日本経済新聞社によると、住宅のリフォームや空気清浄器などが新しく追加され、ポットなどの消費が減った商品が外れる見込みです。新基準は住宅のリフォームなど最近値上がりしている品目の比重が高まり、「CPI」を小幅に押し上げる要因となりそうです。

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【今後の展開】 物価上昇率は当面0%程度で推移し、その後緩やかな上昇へ

■2%の目標達成は厳しいとの見方も
日銀は、エネルギー価格の下落の影響から物価上昇率は当面0%程度で推移し、原油が今後緩やかに上昇することなどにより、2016年度前半頃に2%程度に達するという見解を示しています。現状は日銀の想定通りの動きとなっていますが、見通し達成は厳しいという見方もあり、物価見通しや政策の変更があるか注目されます。

■経済成長に沿った物価上昇の定着に期待
消費は、消費税増税の影響が一巡し、賃上げと物価の落ち着きから、回復基調が強まりそうです。また、企業収益の拡大を背景に、設備投資の意欲も高まっており、景気回復が強まる見込みです。原油の大幅な価格変動がなければ、年後半以降は緩やかな経済成長に沿った物価上昇の定着が期待されます。

(2015年6月29日)

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