ギリシャは債務不履行の可能性が高まる
<ギリシャは債務不履行の可能性が高まる>
【ポイント1】 ECBは緊急流動性支援を凍結
29日は銀行業務停止へ
■28日、欧州中央銀行(ECB)は臨時の会合を開き、これまでギリシャの資金繰りを支えてきた緊急流動性支援(ELA)の現残高での凍結を決定しました。
■ギリシャの銀行は、 29日(月)以降、預金者に払い戻す現金が不足すると見込まれ、政府は資本規制を実施し、銀行の営業を停止すると公表されました。30日期限の国際通貨基金(IMF)への約15億ユーロの返済も滞り、債務不履行となる可能性が高まりました。
【ポイント2】EUとの交渉決裂
6月30日の支援終了を確認
■ギリシャは27日未明、7月5日に国民投票を実施し、EU案の受け入れの是非を国民に問うと一方的に公表しました。このことで、ギリシャとEUとの交渉決裂が決定的となりました。あわせて、国民投票の結果が判明するまで、金融支援の継続をギリシャはEUに要請しました。
■しかし、EU側は27日に開催されたユーロ圏財務相会合で、すでに十分な時間的猶予は与えてきたとの見解を示し、「6月30日の支援終了」を確認し、ギリシャの提案を拒否する姿勢を示しました。
【今後の展開】 国民によるEU案受け入れで、ギリシャ新政府がEUとの協議へ
■ ギリシャはユーロ圏離脱はしないと見込まれるものの、仮に、国民投票で、EU案の受け入れが拒絶されると、離脱の可能性が高まります。ユーロに代わり新通貨が発行、流通することとなれば、インフレが進み、ギリシャ経済は大きく混乱します。また、EUにとっても今後のEUの統合推進への支障も懸念されます。
■ 27日(土)に公表された世論調査によれば、ギリシャ国民の57.5%がギリシャ政府が債権団との交渉に戻るべきだ、と回答したとされます。仮に、EU案が国民投票で受け入れられれば、チプラス首相の退陣や内閣改造が行われ、EUとの協議が新政府との間で進展する見込みです。ギリシャが債務不履行となったとしても、EUの金融システムの安定性を考慮すると、今回の混乱の影響は長い目で見れば限定的と思われますが、短期的には市場が不安定化することが想定されます。
(2015年6月29日)
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