世帯増が「住宅需要」を押し上げ(米国)
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米国の住宅投資がGDPに占める割合は4%弱にすぎませんが、自動車や家電といった関連産業に対して大きな波及効果を持っています。住宅を購入すると、家具・家電製品や自動車を新しく買い替える傾向があるからです。その「住宅需要」は緩和的な金融政策に雇用の回復が加わり、2010年の半ば頃から回復に転じました。今後の経済成長を支える要因のひとつとなる見通しです。 |
【ポイント1】「住宅需要」は回復基調、価格の上昇も続く
悪天候の影響で年末年始に大きく振れたが、増加基調に変化はない
■5月の住宅市場は新規着工件数が年率103.6万件、前月比11.1%の減少となりました。これに対して販売件数は中古が同535.0万件、5.1%増、新築は同54.6万件、2.2%増でした。昨年と同様に悪天候の影響から年初の住宅市場は上下に大きく振れましたが、拡大の基調そのものに変化は見られません。着工件数の大幅減も、4月に22.1%もの増加となった反動と考えられます。
■販売増加により住宅在庫が適正水準を下回ってきました。在庫不足から価格は上昇を続けています。米連邦住宅金融庁(FHFA)が作成している住宅価格指数で見ると、2007年3月につけた史上最高値まで、あと一歩の水準に迫っています。
【ポイント2】雇用回復が需要拡大の要因
若年層の独立などにより世帯数が増加
■住宅市場の回復は緩和的な金融環境に加え、労働市場の回復によるところが大きいと考えられます。雇用の回復によって所得が増加するとともに、それまで経済的理由から親と同居していた若者が独立して新しく世帯を形成するなどのプラスの変化がうかがわれます。
■実際、前年同月比の世帯増加数を見ると、住宅バブル崩壊後は50万世帯強まで落ち込んでいましたが、2014年後半から100万世帯を超えてきました。
【今後の展開】住宅市場の中期的な成長余地は大きい
■利上げ後も「住宅需要」の拡大は続く見込み
連邦準備制度理事会(FRB)は、今年後半に利上げに踏み切ると見られますが、「住宅需要」が腰折れする可能性は低いと考えられます。世帯形成が拡大基調にあることが要因のひとつです。利上げ速度も緩慢なものとなる見通しであり、低金利環境にも当面、大きな変化はないと予想されます。
■潜在的な「住宅需要」は推定140万~150万件
潜在的な「住宅需要」を、世帯数の予想や家屋の廃棄件数などから推計すると、年間140~150万件程度となります。足元の新規住宅着工件数は100万件強ですから、拡大余地は十分に大きいと考えられます。住宅市場の成長はしばらく続く可能性が高いと考えられます。
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