「MERS」収束後の景気テコ入れに注目(韓国)

「MERS」収束後の景気テコ入れに注目(韓国)

「中東呼吸器症候群(MERS(マーズ)=Middle East Respiratory Syndrome)」は、重い肺炎などを引き起こし、死者も出る危険な感染症です。韓国では、「MERS」感染の広がりを受け、訪韓客数の大幅減少や個人消費の停滞が連日報道されるなど、経済の失速が懸念されます。株価も調整色を強めましたが、11日の韓国中銀による利下げもあり、落ち着きを取り戻しつつあります。「MERS」の一刻も早い収束が待たれますが、今後は、経済立て直しのための次の一手に注目が集まりそうです。

【ポイント1】 「MERS」が景気にも影響

感染者数が増加

■2015年5月にバーレーンから帰国した韓国人男性に、同国初の「MERS」感染が確認された後、隔離対象者が一時6,700人を超えるなど、大きな広がりを見せています。韓国保健福祉部によれば、6月23日現在、感染者は175名、死亡者は27名に上り、深刻な状態が続いています。政府からは収束宣言が出ていません。

【ポイント2】 株式市場は調整へ

運輸セクター等が下落

■韓国株式市場は、年初から堅調に推移し、KOSPI指数は4月23日に年初来高値(2173.41ポイント)を記録しました。その後、ウォン高の進展などからやや調整した後、緩やかな回復基調にありました。「MERS」が発生した5月20日の2139.54ポイントから6月16日までで、▲5.2%の下落となりました。
■主なセクターを見ると、ウォン高の影響で自動車セクターが▲11.7%、半導体が▲8.9%となりましたが、空港などを含む運輸セクターが▲9.8%と「MERS」の影響と考えられる下落もありました。

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【今後の展開】 経済の立て直しが喫緊の課題

■株式市場は落ち着きを取り戻しつつある
感染者・死亡者は増加していますが、そのスピードは鈍化しています。隔離対象者が6月18日の6,729人をピークに23日には2,805人まで激減するなど、変化が表れ始めました。収束宣言はまだ出ていませんが、「MERS」は次第に終息に向かい始めていると思われます。韓国株式市場も、6月16日から6月23日までで+2.6%と落ち着きを取り戻しつつあります。

■次の一手に注目
セクター別に見ると、自動車セクターは引き続き下落しています。また、夏場の訪韓客数減の影響は、今後、運輸セクターや小売セクターの業績に反映されると思われます。「MERS」が終息に向かっても、ウォン高の影響等から経済の伸び悩みが続くと見られます。2014年来実施されてきた景気対策の効果も限定的と言われ、手詰まり感が強まる中、政府が打ち出す次の一手に注目が集まりそうです。

(2015年6月25日)

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