オフィスビル空室率の動向 ~都心の空室率低下は続き、賃料もさらに上昇へ~
オフィスビル空室率の動向 ~都心の空室率低下は続き、賃料もさらに上昇へ~
【ポイント1】 都心の空室率は2カ月ぶりに低下
平均賃料は直近底値から約7%上昇
■オフィス仲介大手の三鬼商事が12日にホームページで公表した、5月の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィスビル空室率は、前月比▲0.17ポイントの5.17%と低下(改善)しました。4月は大規模ビルの竣工により1年10カ月ぶりに空室率が上昇(悪化)しましたが、5月に入りテナントの成約が進み、再び低下しました。都心でのオフィス需要の底堅さがうかがわれます。
■5月の同地域のオフィスビル平均賃料は前月比+0.37%の17,320円(1坪当り)と1年5カ月連続で上昇し、直近の底値(2013年12月)から+6.9%上昇しました。
【ポイント2】 地方都市の空室率も低下傾向
企業収益拡大が背景
■地方都市の空室率も順調に低下しています。三鬼商事が調査する札幌市、仙台市、横浜市、名古屋市、大阪市、福岡市すべての5月の空室率は前月比低下しました。大阪市は新築ビルの竣工などにより2015年1月から空室率は前月比で上昇していましたが、5月は5カ月ぶりに低下しました。
■都心と地方都市の空室率低下の背景には、堅調な企業収益があります。主要216社(金融を除く)(*)の2014年度経常利益は、7年ぶりに過去最高を更新し、リーマン・ショック後最低となった2009年度と比べ約2.2倍に拡大しました。企業収益の回復によりオフィス需要が拡大していると見られます。
(*)三井住友アセットマネジメントが主に調査対象とする企業。
【今後の展開】 平均賃料の上昇傾向は続く見込み
■賃料は、空室率の動きに1年~2年程度遅行し、底値からピークまでの期間は4年程度です。2013年末頃に底打ちし、まだ1年半程度しか経過していません。景況感は強まりつつあり、空室率の低下とともに賃料上昇はさらに続くと見られます。
■世界的な国債利回り上昇を受け、足元の東証REIT指数は軟調な動きとなっています。オフィスビル市況の活況は続くと見られ、国債利回りの上昇が落ち着くにつれ、東証REIT指数は底堅い推移となることが期待されます。
(2015年6月12日)
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