「中国製造2025」で製造強国を目指す(中国)

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「中国製造2025」は、製造業強化を目指す中国の計画です。今年3月に開催された全国人民代表大会(全人代)で新たな方針として示され、5月にロードマップが公表されました。それによると、2025年までに日本、米国、ドイツなどの世界の製造強国に仲間入りし、2035年までに中級レベルへアップ、2049年(中国建国100年)には総合力で世界のトップクラスとなることを狙っています。

【ポイント1】製造業強化の道筋を示す

 研究開発費の対売上高比率を指標のひとつに設定

■「中国製造2025」の狙いは、中国が目指す「新常態」実現への具体的な道筋を示すことにあります。これまでの労働集約的な製造業(製造大国)から、情報技術(IT)などを活用した付加価値の高い製造業(製造強国)へ、今後35年をかけて移行する計画です。
■第1ステップとして、2025年までに世界の製造強国の仲間入りを目指します。そのために複数の数値目標を設定しました。例えば、現在0.95%程度の大企業の研究開発投資の売上高に占める比率を、2020年には1.26%、2025年には1.68%程度に引き上げるとしました。先進各国が凌ぎを削る先端分野への中国の本格的な参戦で、こうした分野では今後開発競争の激化が見込まれます。

【ポイント2】9の重点戦略、10の重点分野

キーワードは「革新(イノベーション)」

■「中国製造2025」は、9の重点戦略により、「革新」により競争力を高め、製造品目を高度化して製造業を強化する計画です。
■具体的には、10の重点産業分野が選ばれました。IT産業やロボット、省エネ、新エネルギー車、バイオ医療などでは、資金面や税制面での優遇策が検討されているようです。

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【今後の展開】製造品目を高度化し、欧州や新興国への輸出を強化

 ■サービス業と製造業の融合・一体化を狙う

「製造業2025」では中国製造業の長期ビジョンが示され、来年スタートする次期5カ年計画にそのビジョンが反映されると見られます。これまでの5カ年計画では、サービス産業の発展に力点が置かれていますが、今後は製造業との融合・一体化や研究開発の促進など、製造業強化にも重点が置かれると見込まれます。

■製造業の先端分野を輸出産業へ育成

3月の全人代以降、「現代版シルクロード(一帯一路)」を構築して中国と欧州およびその周辺新興国間の通商を活性化させることを目的に、インフラ整備や通商拠点の整備が進められています。製造業を強化する戦略もこれらと密接に絡み、輸出品目高度化のスピードアップを図り、輸出強化へつなげる狙いと見られます。

(2015年6月12日)

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