「ラジャン総裁」は改革と天候に注目(インド)

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インド準備銀行(RBI、中央銀行)の「ラジャン総裁」は、2013年9月に就任以降、インフレターゲット制度導入などの改革を進め、金融政策では市場との対話を重視しつつ、予想外のタイミングで利下げを行うなど政策効果を高める工夫をしています。こうした取り組みにより物価上昇率が低下するなどの成果をあげており、手腕が市場から高く評価されています。。

【ポイント1】機動的な利下げで政策効果を高める

 追加利下げには慎重な姿勢

■「ラジャン総裁」は3月4日、今年2度目となる緊急利下げを実施しました。政府が2月末に発表した2015年度(2015年4月~2016年3月)予算案を受け、財政緊縮とインフラ整備を盛り込んだ内容を評価し、物価安定にプラスと考えたことが背景にあります。

■6月2日の定例会合における利下げに際しては、政府の経済・財政構造改革、天候による食品価格の動向、原油価格の動向などにも注目することを強調し、過度の利下げ観測をけん制しました。

【ポイント2】物価抑制につながる改革が足踏み

少雨による物価押し上げ懸念が台頭

■5月13日までの前期国会では、物品・サービス税(GST)の導入と土地収用に関する審議が足踏みし、法案が成立しませんでした。構造改革により経済の効率化や投資拡大が進み、物価が中長期的に抑えられるとの期待は、やや後退しています。

■6月2日、インド気象庁は今年のモンスーンシーズン(6月から9月)の降雨量の予想を例年の88%と、4月の予想の93%から引き下げました。少雨による野菜など農産物価格の上昇が物価を押し上げる懸念がやや強まっています。

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【今後の展開】「ラジャン総裁」の追加利下げ判断には、改革法案の成立がカギに

 ■追加利下げ観測の後退が市場の重石に

足元でインドの株式、債券、通貨は軟調に推移しています。米国が年内に利上げを開始するとの観測に加え、「ラジャン総裁」が物価安定のために重視している改革や天候の不透明感で追加利下げ観測が後退していることが背景と思われます。

■改革法案の審議進展に注目

先送りとなったGST導入、土地収用に関する法案を巡り、次期国会(7月~8月)に向けて、与野党間で対話機運が強まっています。「ラジャン総裁」が追加利下げで景気を支えるきっかけとして、これら法案の審議状況にも注目が集まります。

(2015年6月11日)

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