足元の日本株式市場について ~黒田総裁の発言で円高株安の展開に~

足元の日本株式市場について ~黒田総裁の発言で円高株安の展開に~~

【ポイント1】  黒田発言を受け株価急落

米ドル円レートは一時122円台に

■10日の日経平均株価は下落し、前日比▲49.94円の20,046.36円でした。6月1日まで12日連騰した後下落傾向となり、特に9日は360円を超す下げとなるなど、足元で調整色を強めています。

■10日の午前は、4月の機械受注が市場予想を上回ったことなどを受けて、前日の大幅な下げから上昇に転じていました。午後の取引時間中に、黒田日銀総裁が、円安けん制と受け止められる発言をしたとの報道がなされると、一時122円台まで円高が進行、株価も急落しました。

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【ポイント2】 調整の背景は米国の景気改善

米国の雇用改善で利上げを意識

■黒田日銀総裁は10日の衆院財務金融委員会で、「(日米の)金融政策の方向性の違いがすでに市場に織り込まれていれば、実際に米国が利上げしてもさらにドル高円安になる必要はない」と述べました。この発言は、為替相場は「安定的に推移することが望ましい」と続けられたものの、市場では、円安をけん制するものと受け止められ、円高方向の圧力が強まりました。

■6月に入り、世界的に株価が調整色を強めている背景には、米国の雇用などの経済指標が改善し、改めて年内の利上げ開始が意識されていることがあります。

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【今後の展開】 株価は企業収益の拡大に沿った展開へ

■米国の利上げが近づくにつれ、世界的に市場がさらに不安定化する可能性も想定されます。ただし、米国が利上げを開始できるほどに景気が回復することは、世界経済にもプラスです。米国向け輸出の増加が見込まれ、輸出関連株などの追い風となることから、日本株にとっても好ましい状況と考えられます。

■5月中旬以降の米ドル高円安の動きは、政策当局者の目には、ややペースが速いと映った可能性があります。ただし、日米の景況感・金融政策の方向性の違いは当面残るため、スピード調整の後は、再び米ドル高円安方向の展開が想定されます。為替市場が落ち着くにつれ、株価は企業収益の拡大に沿った展開となることが期待されます。

 (2015年6月10日) 

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