「OPEC」は生産目標を維持(グローバル)

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石油輸出国機構(OPEC)は、欧米の石油メジャーに握られた価格支配力を取り戻すため、中東を中心とした産油国によって1960年に設立されました。原加盟国はイラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラの5カ国です。現在の加盟国は12カ国に増え、協調して石油の生産量や価格をコントロールしています。

【ポイント1】 昨年11月の総会で生産目標を据え置き

 減産見送りでその後の原油は一段安に

■OPECは2014年11月27日の総会で、日量3,000万バレルとする現在の生産目標を据え置きました。すでに実際の生産量は目標を上回っていましたので、減産の見送りを受けて原油は一段安となりました。原油価格の代表的な指標であるWTI原油先物価格は、2015年3月18日の取引時間中に、一時1バレル=42ドル03セントの安値をつけました。
■OPECが原油安が続くなかで減産を見送ったのは、米国のシェールオイルなどの生産増加を抑え、将来の販売量やシェアを確保するためとみられています。

【ポイント2】 6月の総会でも生産目標を維持

ただし生産目標はほぼ形骸化

■原油安の進行を受け、米国のシェールオイルの生産にはブレーキがかかり、掘削設備(リグ)の稼働数は大きく減少しました。
■市場のシェア確保に自信をつけたOPECは、6月5日の総会でも引き続き減産を見送り、日量3,000万バレルの生産目標維持を決定しました。
■しかしながら報道によればOPECは日量3,100万バレル強を生産しており、目標は殆ど形骸化しています。

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【今後の展開】 イランの国際市場復帰で供給過剰懸念が強まるおそれも

 ■シェールオイル生産が回復するとの見方も

米国のシェールオイルの生産減少などを背景に、WTI原油先物価格は春先以降、持ち直しの動きが続きましたが、ここしばらくは1バレル=60ドル前後での横ばいが続いています。技術革新による生産コストの低下で、米国のシェールオイル生産が回復するとの見方も相場に影響を与えているようです。

■経済制裁解除でイランは増産へ

またイランは米欧など6カ国との核協議で6月末の期限までに最終合意に至れば、経済制裁が解かれ、石油輸出が解禁される見通しです。シェールオイルの生産回復やイランの増産が現実のものとなれば、供給過剰懸念が強まるおそれがあります。これらは原油価格を押し下げる要因となるため、今後の進展には十分な注意が必要です。

(2015年6月10日)

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