米国の雇用統計(2015年5月)~雇用者数は大幅に増加、賃金の伸びは改善~
米国の雇用統計(2015年5月)~雇用者数は大幅に増加、賃金の伸びは改善~
【ポイント1】 雇用者数は28.0万人増
労働供給増で5月の失業率は上昇
■5月の非農業部門雇用者数は前月比28.0万人の増加となり、4月の22.1万人、市場予想(ブルームバーグ集計)の同22.6万人増を、ともに上回りました。米国の雇用は月平均20万人を超える増加ペースを維持しています。
■5月の失業率は5.5%と4月から0.1%ポイント上昇しました。労働市場から退場していた人が、景気の好転とともに戻ってきたことが原因です。労働市場の悪化を示すものではないと見られます。
【ポイント2】 サービス部門の雇用がけん引
賃金の前年比伸びは改善
■5月の非農業部門雇用者数のうち民間部門は前月比26.2万人増となりました。内訳は生産部門が同0.6万人増、サービス部門が同25.6万人増でした。引き続きサービス部門が雇用の拡大をけん引しています。循環的な上昇局面に入ってきた製造業も0.7万人増と、小幅増加となりました。
■時間あたり賃金は前月比+0.3%と、前月の同+0.1%から伸び率が拡大しました。前年比でも+2.3%となり、前月の同+2.2%から改善しました。金融危機前の3%には及びませんが、労働需給の改善を背景に、賃金上昇率は緩やかながらも高まりつつあると判断されます。
【今後の展開】 金融市場は雇用や物価関連の指標に左右されやすい展開を予想
■5月の雇用統計は予想を上回る雇用増と賃金上昇という、良好な内容だったと評価できます。1-3月期の景気減速が一時的であったことを確認できたこと、景気の循環が足元で既に上向いてきたことを踏まえると、米国経済はこの先、年後半に向け徐々に回復の速度を上げていくと予想されます。
■米連邦準備制度理事会(FRB)は今後、景気回復の持続性をさらに慎重に見極めていくことになると予想されます。一方で金融市場を動揺させないように、市場との対話を通じて利上げ期待を軟着陸させることも課題になると考えられます。市場は、引き続き雇用や物価関連の指標に左右されやすい展開になると見られます。
(2015年6月8日)
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