進む「エネルギー改革」(メキシコ)
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ペニャ・ニエト大統領は、2012年12月に就任以降、教育、金融、財政、通信など、幅広い分野で改革を進めています。「エネルギー改革」では、国営石油公社ペメックスが独占していた資源開発などの事業に、外資を含む民間資本を参入させる計画です。豊富な石油資源を有効に活用することで、経済の活性化、税収増による財政の改善、輸出増による経常収支の改善などが期待されています。 |
【ポイント1】 今年中に民間資本による入札を終える計画
原油安で、スケジュールに遅れも
■「エネルギー改革」については、2013年12月に大枠を定める法律が成立し、2014年8月に実行に必要な各種関連法案も成立、実施に向け法整備が進みました。同月には、資源開発事業への民間資本の参入を前に、ペメックスが優先して資源開発を手掛ける区域の確定(ラウンドゼロ)が行われました。
■続いて、民間資本の参入に向けた入札スケジュールが明らかにされました。ラウンドワンとよばれるこの段階では、2015年中に浅海、陸上、大水深などに分け、5回程度の入札を実施するとされました。
■2014年後半以降、原油価格が大幅に下落し、ラウンドワンの進捗が不安視される状況になりました。実際に、第1弾の入札(浅海の資源探索)予定の発表は、計画の同年10月から12月にずれ込みました。
【ポイント2】 改革は着実に進展
市場は進捗の遅れを冷静に受け止め
■2015年に入り、第2弾の入札(浅海での生産)および第3弾の入札(陸上での生産)の予定が発表され、ラウンドワンは着実に進んでいます。
■第1弾の入札結果の発表は、7月に予定されています。他の入札は今後予定が発表される見込みであり、ラウンドワン全体の完了は、来年以降にずれ込むとの見方が強まっています。
■「エネルギー改革」は、計画から遅れが生じているものの着実に進展しており、メキシコの債券、株式、通貨への影響はこれまでのところ限定的です。
【今後の展開】 7日の総選挙を経て、改革の進展による景気回復へ
■改革進展は総選挙での与党支持要因に
メキシコでは、7日に下院の総選挙が実施され、結果は日本時間の8日中に判明する見込みです。ペニャ・ニエト大統領の属する制度的革命党(PRI)は、治安悪化や汚職などで批判を受けていますが、改革進展を支持要因に、第1党の地位を維持しそうです。
■改革進展の後押しによる景気回復に期待
「エネルギー改革」は今後、入札を経て外資など民間企業が資金を投入し、事業を行う段階に進む見込みです。総選挙でPRIやペニャ・二エト大統領が地歩を固めれば、高速鉄道の建設など一部で滞りの見られる他の改革も進みやすくなり、景気回復に弾みがつくとの期待が高まると思われます。
(2015年6月8日)
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http://www.smam-jp.com/market/report/keyword/__icsFiles/afieldfile/2015/06/05/150608mk.pdf
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