足元の中国株式市場について ~高値警戒感が強まり、利益確定の売りで急落~

足元の中国株式市場について  ~高値警戒感が強まり、利益確定の売りで急落~

【ポイント1】 28日は▲6.5%の急落

急ピッチの上昇がいったん反転
■上海総合指数は27日、2008年1月以来の高値で終了した後、翌28日に前日比▲6.50%の急落、29日の取引時間中には、一時27日の終値から10%を超す下落となりました。29日の終値は、前日比▲0.2%の4611.744でした。香港市場上場の中国本土系企業で構成されるハンセン中国企業株指数(H株指数)も下落し、29日の日本時間16時時点の価格は2日間で▲4.2%の14,056.22となりました。

■最近の株価上昇ピッチが急で高値警戒感が強まっていたところに、複数の売り材料が重なり、急落につながったと考えられます。

 

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【ポイント2】 信用取引条件厳格化がきっかけ

中央銀行の資金回収も

■下落のきっかけは、中国の証券会社が信用取引条件を厳格化したことや、中国人民銀行(中央銀行、以下中銀)が、市中銀行から余剰資金を回収したと伝えられたことなどです。また、大型の新規上場(IPO)による株式需給の悪化懸念や一部の政府系ファンドが保有株を売却したとの観測も不安心理を強めました。

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【今後の展開】   構造改革進展と追加金融緩和への期待に支えられる展開へ

■中国の1-3月期GDP成長率は、前年同期比+7.0%と、リーマンショック直後の2009年1-3月期以来の低水準となりました。これに対して政府・中銀は、金融緩和の強化やインフラ投資の拡大を中心とした財政支援を継続すると同時に、国有企業改革などの構造改革を進め、持続可能な安定成長への軟着陸を目指しています。

■株式市場は、景気の減速などに照らして上昇ピッチが速く、足元の調整は過熱を和らげるものと評価されます。政策当局が金融機関に対して株式市場への資金流入を報告するよう求めたとの報道もあり、過熱する市場へのけん制が入りやすい状況が当面続きそうです。株価は、振れを伴いつつも、構造改革進展と追加金融緩和への期待に支えられる展開が続くと考えられます。

 (2015年5月29日) 

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