最近の指標から見るメキシコ経済(2015年5月) ~低金利政策を背景に緩やかな成長が続く見込み~

最近の指標から見るメキシコ経済(2015年5月) ~緩やかな成長が続く見込み~

【ポイント1】緩やかな成長が続く見込み

雇用情勢改善を受け、消費が下支え
■2015年1-3月期の実質GDP成長率は前年同期比+2.5%と、前期(同+2.6%)から小幅に低下しました。米国景気の下振れなどによりメキシコ景気は勢いを欠く状況にあり、メキシコ銀行(中央銀行、以下中銀)による予想では、今年通年の成長率予想は1-3月期と同程度とされています。

■4月の失業率は4.30%と、今年は4%台前半で推移しており、昨年3月(5.32%)を直近のピークに改善しています。消費者信頼感指数が安定していることもあり、底堅い消費が下支えし、中銀の予想に沿って緩やかな成長が続くと思われます。

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【ポイント2】物価は安定的に推移

中銀は6月も低金利継続の見込み

■5月前半の消費者物価指数は前年同月比+2.93%となり、中銀の物価目標(年+3%、変動幅±1%)近辺での推移が続いています。景気が勢いを欠く状況にあることや、食品価格の落ち着きなどが要因です。

■中銀は、メキシコペソ安による物価押し上げリスクは緩やかなものにとどまり、年末の物価上昇率も目標を若干下回ると予想しています。市場では、中銀が米国の利上げ時期を意識しながらも、次回会合(6月4日)では政策金利を過去最低水準(3%)に維持すると見込まれています。

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【今後の展開】  ペソは中銀の為替介入で当面支えられ、景気拡大に伴い底堅い展開へ

■ 中銀は5月22日、6月中に終了予定であった米ドル売りペソ買いの為替介入(毎日5,200万米ドル)を9月28日まで延長することを発表しました。また、ペソが前日から1.5%下落した際に自動的に実施する為替介入(2億米ドル)も継続する方針です。米国での利上げ観測などによるペソ安圧力には、これらの中銀の政策が歯止めになる見込みです。

■メキシコではエネルギー改革が実施段階にあります。油田開発への入札手続きが進められるなど、改革による景気への効果は徐々に強まると期待されます。米国の利上げはペソの下押し要因ですが、利上げの背景である米国の景気回復はメキシコの景気にプラスになります。ペソは景気拡大に伴って、底堅い展開になりそうです。

 (2015年5月29日) 

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