「ギリシャ問題」、合意へ最後の詰め(欧州)

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欧州連合(EU)とギリシャは、6月末を期限とする既存のプログラムに基づく支援を協議しています。EUが求める年金減額と最低賃金の引き上げ凍結をギリシャは依然として拒み続け、合意には時間と労力がなお必要です。6月中の国際通貨基金(IMF)への債務返済は、滞っても直ちに債務不履行(デフォルト)にはならないことから、6月末の期限直前での合意の観測も浮上しています。

【ポイント1】年金減額などの先送りをギリシャは模索

IMFへの返済遅延はデフォルトとならない
■ ギリシャのチプラス首相は27日に「合意は近い」と述べました。しかし、ギリシャが想定する合意内容にEUが求める年金減額などが含まれておらず、EUは近く合意に至る予定はない、とチプラス首相の発言とは異なる報道がなされました。双方の間には依然として深い溝が見られます。
■ ギリシャの内務相は24日、6月中に予定されるIMFへの「返済資金はない」と発言しました。ただし、ギリシャのIMFへの債務返済が滞ったとしても、格付け機関は、それを理由として債務不履行(デフォルト)と認定しないとしていることから、合意は期限とされる6月末の直前になるとの観測も浮上しています。

【ポイント2】合意で6月中に37億ユーロ

期限内の合意へ向けて最後の詰め
■ギリシャとしては、EUとの合意以外に資金調達の方法は無いと見られます。EUと合意すれば、37億ユーロのEUからの追加支援を6月中に受け取ることが可能となります。さらに、第3次金融支援に向けた協議開始も想定されます。
■ チプラス首相は、反緊縮財政を掲げて政権についたため、他の条件は譲歩してでも、年金減額などを先送りし、期限内の合意に持ち込む狙いと見られています。

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【今後の展開】期限内の合意により、不透明感の後退を期待

 ■合意によるデフォルト回避は、双方にメリット
ギリシャがデフォルトになると、金融市場の混乱が想定されます。また、大多数のギリシャ国民はユーロ圏残留を望んでいると見られ、歩み寄りの余地は十分にありそうです。交渉の長期化でギリシャ経済がすでに苦境にあることも期限内の合意が望まれる理由です。

■鍵握るドイツの対応
交渉の鍵はドイツが握ると見られます。ドイツは、ユーロ圏で最大の支援資金を負担する立場から、緊縮財政の継続を強く求め、年金減額などの先送りに反対しています。期限内で合意がなされ、「ギリシャ問題」を巡る不透明感がひとまず後退し、金融市場の安心材料となることが期待されます。

(2015年5月29日)

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