激しい値動きが続くトルコリラ インフレが落ち着けば再評価の余地は大きい

激しい値動きが続くトルコリラ

インフレが落ち着けば再評価の余地は大きい

【ポイント1】トルコリラは一時大幅下落

■トルコリラは2021年の春から9月まで対円で13円台の横ばい圏で推移していましたが、その後12月中旬にかけて6円台まで大幅に下落しました。

■12月の消費者物価が前年比+36%になるなど、トルコではインフレが非常に速いペースで進行しています。低金利が経済にプラスに働くとの強い信念を持つエルドアン大統領は、利下げを求め総裁を含む中央銀行高官を更迭し、インフレと通貨安のスパイラルを招いていました。

【ポイント2】預金補填の発表で急騰

■しかし、12月20日、政府はトルコリラの対ドルでの下落率がトルコリラ建ての国内定期預金の金利を上回った場合には、その差額を補填すると発表し、トルコリラは急騰しました。

■投資家のポジションがリラ売りに大きく偏っていたこともトルコリラの大幅反発に寄与したと考えられます。

【今後の展開】インフレが落ち着けば再評価の余地は大きい

■政府による預金補填はトルコ国民の預金を外貨からリラに誘導する一定の効果は考えられるものの、国内預金(トルコ中銀によると2021年11月で総額3兆リラ)と、為替市場の規模(国際決済銀行によると2019年で毎日7兆リラ)を考えると、根本的な解決策とは言い難い状況です。

■トルコリラが下落したのはインフレにもかかわらず利下げを求めるエルドアン大統領の姿勢が原因ですが、その強い信念が修正される可能性は低そうです。また、預金補填が必要な水準までトルコリラが下落すると財政赤字が拡大し、通貨安とインフレのスパイラルに再び陥る可能性があります。

■一方、トルコの自動車・電気機器などの製造拠点としての優位性、中央値年齢33歳の若くて増え続ける人口、魅力的な観光資源、そして何より地政学的な重要性などを鑑みれば、インフレが落ち着けばトルコリラが再評価される余地は大きいと考えられます。

(2022年1月7日)

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