IMFの世界経済見通し、6.0%成長で据え置き ワクチン接種による成長格差拡大を懸念

IMFの世界経済見通し、6.0%成長で据え置き

ワクチン接種による成長格差拡大を懸念

【ポイント1】2021年の世界経済見通しは6.0%成長で据え置き

2022年は4.9%成長に0.5%上方修正

■国際通貨基金(IMF)は27日、最新の世界経済見通しを発表し、2021年の世界の成長率を前年比6.0%と、前回の4月予測から据え置きました。ただし、内訳をみると、先進国の見通しが5.6%と、0.5ポイント上方修正された一方、新興国は6.3%と、0.4ポイント下方修正されました。これは、新型コロナウイルスのワクチン接種拡大と財政政策が米国を中心に先進国の成長率を押し上げるものの、ワクチン普及の遅れと弱い財政基盤から新興国の回復が想定よりも後ずれする見通しを反映したものです。

■2022年の予測は前年比4.9%と、0.5ポイントの上方修正となりました。新興国を含めたワクチンの普及により、高い経済成長が続くと予想されています。

【ポイント2】一部の国・地域が下方修正

ワクチン接種の差が回復の差に

■2021年の見通しは、コロナ感染やワクチン接種の状況により一部の国・地域が下方修正されました。

■先進国では、ワクチン接種の拡大に伴い欧米が上方修正されるなかで、日本は2.8%と、0.5ポイント下方修正されました。度重なる緊急事態宣言発動やワクチン接種の遅れで、経済の正常化が進んでいないことが背景です。

■新興国では、新型コロナの感染拡大の影響でアジアを中心に下方修正されました。感染が急増したインドは9.5%の高成長ながら、3.0ポイントの大幅下方修正となりました。ASEAN5も4.3%と、0.6ポイント下方修正されました。

【今後の展開】ワクチン接種の世界的な普及に注目

■今回の世界経済見通しでは、2021年、2022年ともに高い成長が続く予想が示されました。ただし、IMFは、ワクチン接種が進展し、経済対策も続ける先進国と、そうした環境が整わない新興国や途上国との格差が拡大する状況について、「断層が広がっている」として懸念を示しています。世界で変異ウイルスの感染拡大が収まらないなか、世界的にワクチン接種が進展するか注目されます。

(2021年7月28日)

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