緊急事態宣言が延長されても日本株は腰折れず ワクチン接種加速に大いに注目
緊急事態宣言が延長されても日本株は腰折れず
【ポイント1】上値の重い日本株式市場
ワクチン接種開始と業績期待が下支え
■5月の日本株式市場は総じて上値が重く、TOPIXが前月比+1.3%、日経平均が同+0.2%でした。中旬にかけては米国の物価・長期金利の上昇や米株の下落から、日本株も調整しました。下旬は米国市場が落ち着きを取り戻したことや日本でワクチン接種が進み始めたことによる業績期待が下支えとなりました。
【ポイント2】緊急事態宣言の延長
4-6月期のGDPはマイナス成長へ
■政府は、9都道府県に対する緊急事態宣言を5月末から6月20日までに延長しました。この4-6月期実質GDPへの影響は年率▲2%程度と想定しています。4-6月期はプラス成長に転ずる見通しでしたが、緊急事態宣言の延長で小幅ながら2四半期連続のマイナス成長になる可能性が高いと判断しています。
【今後の展開】ワクチン接種加速に大いに注目
■日本の累計ワクチン接種回数が加速しています。5月30日現在、ワクチン総接種数/人口は9.76%に達しました(Our World Data)。菅政権は21年7月末までに全高齢者の接種を完了させるという高い政府目標を掲げており、21年7-9月期中には大方の高齢者への接種が行き渡る公算が高いと思われます。ワクチン接種が進捗する中で、21年7-9月期については景気のリバウンドが想定されます。
■株式市場は21年7-9月期以降、年度下期の景気回復と業績拡大を想定していることから、ワクチン接種の加速化が、年度下期の景気・業績回復の確信度を高める要因となるだけに、大いに注目されると思います。
■仮に、政府の見立て通り、高齢者への接種が進むと、先行して接種している医療従事者を含めて7月末段階で累積ワクチン接種率は人口の30%を超えることになります。7月末は接種開始が確認できる2月22日から起算して約5.7カ月となります。米国で同接種率が30%を超えたのは21年3月21日で、期間は20年12月20日から約2.8カ月と日本の半分程度でした。日本は接種が遅れていますが、今後は、大規模接種会場の設置が40都道府県に拡大するほか、ワクチンを打つ医療関係者も増加する見通しです。東京オリンピック開催への準備の一環とも考えられ、接種スピードの加速化は進むと思われます。こうした点を踏まえれば、日本株は業績期待にも支えられて腰折れず、むしろ年後半に向けて堅調に推移すると考えられます。
(2021年6月1日)
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