脱炭素の動きを受けて『EV』シフトが一段と加速

脱炭素の動きを受けて『EV』シフトが一段と加速

多くの国・地域が競うように高い脱炭素目標を表明しています。目標達成に向けてドイツ、英国が2030年を期限としてガソリン・ディーゼル車の新規販売を禁止するなど、ガソリン・ディーゼル車から電気自動車(『EV』)などへの転換を求めており、『EV』シフトが一段と加速し始めました。『EV』は車体構造や部品を簡素化できるため、新規参入が増加、対する既存の国内外の自動車大手も『EV』シフトの前倒しが相次いでいます。

【ポイント1】各国の脱炭素前倒しを受け『EV』シフトが一段と加速

■2021年4月に米国主催でオンラインで行われた気候変動サミットでは、多くの国・地域が意欲的なCO2排出削減目標などを発表しました。削減達成に向けて、ドイツ、英国が2030年期限にガソリン・ディーゼル車の新規販売禁止に動くなど、国・地域の対応を受けて『EV』シフトが一段と加速し始めました。

■こうした状況を受けて、国内外の自動車大手は『EV』シフトの前倒しを相次いで発表しています。また『EV』は車体構造や部品を簡素化できるため、新規参入が増加しています。

【ポイント2】国内の自動車大手は電動車シフトを前倒し

■トヨタ自動車は5月、2030年を目標とした電動化計画の見直しを公表しました。ハイブリッド車(HV)を含む電動車の販売は800万台と従来計画の550万台から引き上げます。走行時にCO2を排出しない『EV』・燃料電池車(FCV)を200万台と同100万台から倍に増やす計画です。欧米大手とは一線を画し競争優位性のあるHVなどの拡大も進めます。

■ホンダは4月、国内の自動車大手で初めて世界での新車販売の全てを『EV』とFCVに切り替え40年までにHVも含め、走行中にCO2を排出する新車の販売をやめます。『EV』・FCVの比率を30年に先進国全体で40%、35年に同じく80%にし、40年には世界で100%にする計画です。

【今後の展開】各社の電動車への戦略が注目される

■脱炭素の流れの中、電動車(『EV』、HVなど)へのシフトは必至ですが、『EV』は電池の性能向上やコストの引き下げ、航続距離の延長など課題は多く残ります。このため各社の戦略は独フォルクスワーゲンのように同社ブランドの乗用車で、30年に欧州販売の7割以上を『EV』にするなど経営資源を『EV』に集中する企業や、トヨタのように『EV』とHV、プラグインハイブリッド車(PHV)の併存拡大を目指すなど分かれています。『EV』へのシフトは加速するものの、どのように集約していくかは見方が分かれており、各社の対応が注目されます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

(2021年5月27日)

印刷用PDFはこちら↓

脱炭素の動きを受けて『EV』シフトが一段と加速

関連マーケットレポート

2021年5月20日 半導体で加速する『自動車の電子化』

2021年5月19日 予想を上回った自動車業界の2020年度業績

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会