新型コロナの影響で、『街角景気』は一段と悪化

新型コロナの影響で、『街角景気』は一段と悪化

「景気ウォッチャー調査」、いわゆる『街角景気』とは、景気に敏感なタクシー運転手や小売店、メーカー、輸送業、広告代理店など、地域の景気の動きを敏感に観察できる立場にある約2,000人を対象とした調査です。4月の『街角景気』では、新型コロナ感染拡大の影響で現状判断指数(DI)、先行き判断指数(DI)ともに、一段と低下しました。

【ポイント1】現状判断DIは前月比▲6.3ポイントの大幅低下で7.9

先行き判断DIも▲2.2ポイント低下し16.6

■4月の『街角景気』によると、現状判断DI(季節調整値)は前月比▲6.3ポイント低下し7.9と、先月つけた統計開始以来の最低水準を更新しました。低下幅は先月より縮小しましたが、3カ月連続の大幅低下となりました。項目別では家計動向関連、企業動向関連、雇用関連の全てにわたって大幅な低下となっており、新型コロナの影響により、街角の景況感が一段と深刻さを増していることが確認できる結果となりました。

■先行き判断DIは前月比▲2.2ポイントの16.6となりました。こちらも先月より低下幅は縮小しましたが、5カ月連続の低下となりました。項目別では家計動向関連の悪化は小幅となりましたが、企業動向関連と雇用関連が大きく低下しており、事業環境の先行きに対する懸念が大きいことが伺えます。

【ポイント2】現状コメントは「自粛」、「休業」が急増

不安にかかわる用語が高水準

■街角の声をより客観的に分析する、当社独自のテキストマイニングによる分析手法(*)によると、ウォッチャーの現状判断に関するコメントにおける単語の使用数は、ネガティブな単語の使用比率がポジティブな単語を7カ月連続で上回りましたが、両者の差は若干縮小しました。「コロナ・肺炎」はやや減少しましたが、「自粛」、「休業」、「宣言」が急増しており、不安にかかわる用語が高水準で推移しています。

■先行き判断でも、ネガティブな単語の使用比率がポジティブな単語を4カ月連続で上回り、同様の傾向となりました。

(*)テキスト(文書)をコンピュータで探索する技術の総称。典型的な例として、テキストにおける単語の使用頻度を測定し、テキストの特徴を統計的に分析・可視化することで、背後にある有益な情報を探ることができます。

【今後の展開】緊急事態宣言一部解除に期待も、感染再拡大に注意

■内閣府は『街角景気』について、「極めて厳しい状況にある」から「極めて厳しい状況にある中で、さらに悪化している」に下方修正しました。先行きについては「一段と厳しさが増すとみている」から「厳しさが増すとみている」に厳しさのトーンを若干弱めました。政府は14日に39県で緊急事態宣言の解除を行う方針であり、『街角景気』は改善に向かう可能性が高いですが、感染再拡大に配慮した行動が求められます。

(2020年5月14日)

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