米雇用統計は過去に例のない悪化 米政権は追加の経済対策を検討へ

米雇用統計は過去に例のない悪化 米政権は追加の経済対策を検討へ

【ポイント1】米雇用者数は70万人減

失業率は0.9%上昇

■4月3日に発表された20年3月の米非農業部門雇用者数は前月比70.1万人減と、前月の同27.5万人増から急激に悪化し、市場予想の同10万人減を大きく下回りました。就業者数が減少したのは9年半ぶりです。また、失業率は4.4%と、前月(3.5%)から0.9%上昇しました。新型コロナウイルスの影響で雇用情勢は過去に例のない落ち込みを示しました。

■ただ、3月の雇用統計の集計は3月半ばで、その後の2週間に失業保険の新規申請が約1,000万件発生していることを踏まえると、4月の雇用統計はさらに悪化することは間違いないとみられます。

【ポイント2】早くも追加経済対策を検討へ

■過去に例のない雇用悪化を受けて、米政権と連邦議会は追加の景気刺激策の検討に入っています。3月27日に、2兆ドル規模の過去最大の経済対策を決めたばかりですが、新型コロナで経済活動が大幅に抑制されていることから、インフラ投資や、中小企業や家計の資金供給などの追加策を検討します。矢継ぎ早の経済対策による景気下支えが期待されます。

【今後の展開】市場の焦点は新型コロナの感染状況

■3日の米国市場では、雇用統計の急激な悪化を受けて、新型コロナの感染拡大による景気への悪影響が再び意識されたことから、株価が下落し、長期金利(10年国債利回り)は小幅に低下しました。一方、為替はドル需要の強さを背景に、ドルが対円、対ユーロで上昇しました。

■市場では雇用統計の大幅な悪化がある程度織り込まれていたとみられ、大きくは反応しませんでした。市場の最大の焦点は引き続き新型コロナの感染状況です。米政権が迅速な経済対策で景気を支えるなか、ロックダウン(都市封鎖)などの効果的な感染抑制策により、感染者数がピークアウトすることが待たれます。

(2020年4月6日)

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