協調減産破綻で原油価格大幅下落(2020年3月) 原油価格反転が見込みにくい状況が継続

 

 

協調減産破綻で原油価格大幅下落(2020年3月)

【ポイント1】原油価格は一時27米ドル台へ

新型肺炎影響拡大と協調減産破綻

■北米の代表的な原油価格であるWTIは、新型肺炎の感染拡大によるグローバル景気減速が懸念される中、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟主要産油国の協調減産交渉が決裂したことから、一時1バレル=27米ドル台まで急落、年初来で5割程度の下落となりました。

■OPECは5日の臨時総会で4~6月に日量150万バレルの追加減産を実施する案で合意しましたが、6日主要産油国会合でロシアが追加減産を拒否し、交渉は決裂しました。これを受けこれまで調整役となっていたサウジアラビアが増産方針を打ち出したことから、需給悪化懸念が一気に高まったことが要因です。

【ポイント2】2020年の原油需要見通しを大幅下方修正も増産へ

■3月11日に公表されたOPEC月報の3月号では、2020年の世界の原油需要予想は日量9,973万バレルと、前月見通しから100万バレルの大幅下方修正となりました。OPECは「中国を中心とした新型肺炎の感染拡大による需要減少が主な要因で、一段の引き下げもありうる」としています。

■需給均衡のためにはOPEC加盟国は前月比112万バレルの供給削減が必要となっていましたが、上記交渉決裂により需給調整は不能となりました。

【今後の展開】原油価格反転が見込みにくい状況が継続

■新型肺炎の感染拡大による世界経済の減速懸念から各国は金融・財政政策を急いでいますが、一方で感染拡大防止のためには経済活動を抑制せざるを得ず、景気浮揚策の効果が見込みにくくなっています。原油の供給サイドを見るとロシアは「石油輸出国との協力を排除しない」とコメントし、6月のOPECプラスに前向きですが、サウジアラビアが態度を硬化させており、当面、原油価格は低位で推移すると考えられます。主要産油国の協調復帰が待たれます。

(2020年3月13日)

印刷用PDFはこちら↓

協調減産破綻で原油価格大幅下落(2020年3月) 原油価格反転が見込みにくい状況が継続

関連マーケットレポート

2020年3月10日 足元の金融市場の状況と今後の見通し

2020年2月18日 原油価格は新型肺炎の影響で下落(2020年2月)

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会