流通業の相次ぐ『店舗閉鎖』は成長につながるか?

流通業の相次ぐ『店舗閉鎖』は成長につながるか?

10月中旬の流通業の決算では、大胆な『店舗閉鎖』などのリストラ策と成長戦略の発表が相次ぎました。少子高齢化などで国内需要の拡大が期待できない中、消費行動の変化によるネット通販の台頭、消費税の引き上げ、訪日外国人消費の減速などへ対処するためとみられます。国内の流通業は、なかなか大規模な『店舗閉鎖』に踏み込めませんでしたが、今回の取組みが収益力強化と成長につながっていくか注目されます。

【ポイント1】流通業の決算ではリストラ策の発表が相次ぐ

■10月中旬の百貨店やスーパー、アパレルなどの流通業の決算では、セブン&アイ・ホールディングス、オンワードホールディングスなど多数の企業で従来より踏み込んだ『店舗閉鎖』などリストラ策の発表が相次ぎました。

■背景には少子高齢化などで国内需要の拡大が期待できない中、働き方改革に伴うカジュアル化やネット通販の台頭など消費行動の変化への対応と、消費税の引き上げ、訪日外国人消費の減速などへ対処するためとみられます。リストラによりコストダウンを進めるとともに、ネット通販の強化などで成長を目指します。

【ポイント2】セブン&アイなど『店舗閉鎖』を発表

■10月10日、セブン&アイ・ホールディングスは2022年度末までに傘下の百貨店と総合スーパー事業の人員の2割にあたる3,000人を削減すると発表しました。セブンーイレブン・ジャパンでは約1,000店の閉鎖・移転を進めるなど、店舗網の再構築も進めます。総合スーパーのイトーヨーカ堂は33店舗についてグループ内外の企業との連携や閉店を検討するほか、百貨店のそごう・西武は5店舗を閉鎖する方針です。一方、成長戦略として7-Elevenによる北米及びグローバル展開とデジタル戦略の強化などを進める方針です。

■10月3日、オンワードホールディングスは国内外の2割に相当する約600店舗を閉鎖していくのに伴い、2020年2月期は11年ぶりの最終赤字に転落すると発表しました。百貨店への過度の依存を改める一方、ショッピングセンターやネット通販などを強化する方針です。

【今後の展開】利益成長につなげていけるか注目される

■流通業は長らく新規出店により売り上げ増を目指す事業構造からなかなか転換できず、『店舗閉鎖』なども小幅にとどまってきました。今回は多数の企業が『店舗閉鎖』などのリストラを加速しました。発表後の株価は概ね上昇しており、こうした対応への期待が高まっています。市場の期待通り、リストラによる収益力強化と経営資源の成長分野へのシフトによる利益成長につなげていけるか各企業の取り組みが注目されます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

(2019年11月22日)

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