『街角景気』は大幅低下も先行きは回復期待
『街角景気』は大幅低下も先行きは回復期待
「景気ウォッチャー調査」、いわゆる『街角景気』とは、景気に敏感なタクシー運転手や小売店、メーカー、輸送業、広告代理店など、地域の景気の動きを敏感に観察できる立場にある約2,000人を対象とした調査です。10月の『街角景気』では、足元の景況感を示す現状判断指数(DI)は、増税前の駆け込み需要の反動や台風による影響から大きく低下しました。一方、先行き判断DIは上昇し、景気回復が期待されています。 |
【ポイント1】現状判断DIは前月比▲10.0ポイントの36.7と大きく低下
先行き判断DIは+6.8ポイントの43.7と、4カ月ぶりに上昇
■2019年10月の『街角景気』によると、現状判断DI(季節調整値)は前月比▲10.0ポイントの36.7でした。今回は消費増税後初の調査ですが、低下幅は前回14年の増税時(同▲15.7ポイント)より小幅でしたが、水準は前回(38.4)より低下しました。項目別でも全項目が低下し、特に家計動向関連の低下が目立ちました。消費増税に伴う駆け込み需要の反動に加え、台風19号等による影響がみられました。
■先行き判断DIは前月比+6.8ポイントの43.7と、4カ月ぶりに上昇しました。項目別では、家計動向関連、企業動向関連が上昇しており、前回増税時よりも早い回復の動きがみられることや、復旧工事の増加などが判断理由としてあげられました。一方で、人材紹介業の求人数減少が懸念されるなど、雇用関連は低下しました。
【ポイント2】現状コメントは「節約」、「台風」が大幅増
■街角の声をより客観的に分析する、当社独自のテキストマイニングによる分析手法(*)によると、ウォッチャーの現状判断に関するコメントにおける単語の使用数は、「不安」、「悪い」などのネガティブな単語がポジティブな単語を2カ月ぶりに上回りました。「節約」、「台風」が大幅に増加しました。
■先行き判断については、ネガティブな単語がポジティブな単語を4カ月連続で上回りましたが、その差は縮小しました。「節約」や「不安」にかかわる用語が大幅に減少した一方で、「貿易摩擦」にかかわる用語は高水準を維持しました。
(*)テキスト(文書)をコンピュータで探索する技術の総称。典型的な例として、テキストにおける単語の使用頻度を測定し、テキストの特徴を統計的に分析・可視化することで、背後にある有益な情報を探ることができます。
【今後の展開】弱い“回復”の動き長期化を懸念も、先行きは回復を期待
■内閣府は『街角景気』について、「このところ回復に弱い動きがみられる」との表現を据え置きました。先行きについては「海外情勢等に対する懸念がみられる」との見方を維持する一方で、「持ち直しへの期待がみられる」との表現を追加しました。10月の『街角景気』は大幅に悪化し、軽減税率などの増税対策があったことを考慮すると弱い印象と言えそうです。先行きには回復への期待がみられますが、増税後の景況感がどのくらいで回復するのか、または不確実性の高まりなどから回復の弱い動きが長期化するのか、今後の動向が注目されます。
(2019年11月12日)
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