運用者の視点:中国と『スマホ決済』
運用者の視点:中国と『スマホ決済』
「マーケット・キーワード」では、弊社のアジア株式運用者が運用業務を通して気付いたり、感じたことを“運用者の視点”として定期的にお届けしています。急速かつダイナミックに変革が進む、中国・アジア地域の経済やマーケットの“今”を、独自の視点でお伝えできれば幸いです。今回のテーマは、中国に大きく遅れて、最近、日本で急速に普及がすすみ始めた『スマホ決済』についてです。 |
【ポイント1】日本人の思考を変えつつある『スマホ決済』
■10月1日の消費税率引き上げに伴い、日本では最近スマホを使った決済が急速に普及しています。キャッシュレスでの支払額の一部をポイントで還元する制度が実施され、大々的なプロモーションの効果もあり「現金決済は損」という空気が広がっています。もともと日本人は現金志向が強く、セキュリティーに対する不安や『スマホ決済』の普及に懐疑的な見方が多くありましたが、現金を持たなくても一定の生活が出来るまでに普及が進んできた感があります。また、年末年始に向けて、忘年会・新年会の割り勘やお年玉をスマホでやり取りする人も増えそうな勢いです。
■実は中国はこの『スマホ決済』の分野において、世界でも圧倒的に先行しています。新しいもの好きな国民性、関連企業による新サービスのスピーディーな投入などから、すでに3年前には商店やレストランで現金の受け取りを拒否された、という声をよく聞くほど成熟した『スマホ決済』社会になっていました。
【今後の展開】中国が主導権を握りつつある新技術開発
■足もとで日本の『スマホ決済』の普及率が急速に上昇し、中国との差を縮めているのは事実です。しかし、現在の中国はさらに先を行っており、例えばコンビニでは、顔認証で代金を支払うサービスが開始されるなど、現金どころかスマホすら不要な時代に突入しています。顔認証の活用はプライバシーの侵害や監視社会につながるリスクを内包しており、欧米などではサービスが制限され始めている中で、中国は実証実験から本格的な立ち上げの段階に一気に突入し、この分野での主導権を握りつつあります。欧米や日本の企業は、この技術開発に今後どう向き合うべきか、難しい立ち位置にいるといえます。
■プライバシーの侵害や監視社会化を理由に、技術開発の手を緩め、実用化に制限をかけ続ければ、この分野の主導権はすべて中国に握られることになりかねません。技術開発を強化したとしても、実用化を前提としない強化である限り、中国との差は埋まらない可能性があります。
(2019年11月11日)
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