軟調に推移する原油価格(2019年8月) 景気減速懸念は継続も、政策効果やOPEC動向に注目

軟調に推移する原油価格(2019年8月)

【ポイント1】原油価格は軟調に推移

景気減速懸念などが背景

■北米の代表的な原油価格であるWTI原油価格は、2019年4月以降、軟調な動きとなっています。

■米中貿易摩擦やそれに伴う世界的な景気減速懸念、高水準で推移する米国の原油生産などが背景です。

【ポイント2】OPEC産油量は減少が継続

現状のままなら今年はやや需要超か

■8月16日に公表された石油輸出国機構(OPEC)月報の8月号によると、OPEC加盟国の原油生産量は減少が続いています。7月の生産量は日量で前月比▲24.6万バレルとなる2,961万バレルでした。

■2019年の世界の原油需要は日量9,992万バレルと予想されています。需給の均衡にはOPEC加盟国で3,070万バレルの供給が必要とみられますが、原油生産量が現状の2,961万バレル程度で推移すれば、2019年は需要が供給をやや上回りそうです。

■なお、OPECは19年の原油市場についてやや弱気な見通しを示したうえで、需給バランスを引き続き注視し、市場の安定をサポートしていくとしています。

【今後の展開】景気減速懸念は継続も、政策効果やOPEC動向に注目

■米中貿易摩擦は、米中が互いに追加関税の引き上げを表明するなど、先行き不透明感の強い状況が継続しています。そのため、世界的な景気減速懸念が意識されやすい状況は当面続くとみられます。

■一方、世界中の中央銀行が続々と利下げに踏み切っているほか、中国やドイツなどでは財政政策が強化されるとの観測もみられます。こうした政策の効果が出てくれば、原油価格が下支えされる可能性があります。

■また、足元では、サウジアラビアが原油価格の下支え策を主要産油国と議論しているとの報道がみられます。12月に開催予定のOPEC総会を控え、状況によっては減産の強化に向けた動きが出てくる可能性があることから、動向が注目されます。

(2019年8月28日)

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