豪ドル為替相場は底入れを探る展開(2019年8月)追加利下げの可能性高まるも、豪ドル支援材料にも注目

豪ドル為替相場は底入れを探る展開(2019年8月)

【ポイント1】豪ドルは8月初めに大幅下落

米国の対中追加関税が背景

■豪ドルの対円相場は8月初めに大きく下落しました。1日にトランプ米大統領が中国からの輸入品約3,000億米ドルに9月から10%の追加関税を賦課すると表明したことが背景です。その後、輸入品の一部については関税の発動を12月まで先送りするとの発表があったものの、豪ドルの反応は小幅にとどまりました。

【ポイント2】RBAは追加利下げに含み

失業率は下げ止まりが鮮明に

■豪州準備銀行(RBA)が政策金利を1.00%に据え置いた8月6日の金融政策決定会合の議事要旨が、20日に公開されました。直近2回の利下げを経て、内外経済の動向を精査するために政策金利の据え置きを決定したとしています。今後については、状況次第で追加利下げを検討する方針を示しました。

■RBAが注視する豪雇用統計の7月分では、雇用者数が、短期の変動を均したトレンド値でみて前月から+2.5万人増加し、伸びが前月の+2.8万人から減速しました。失業率のトレンド値は5.3%と、前月の5.2%から上昇しました。

■また、8月9日に公表されたRBAの四半期経済報告では、2020年にかけて、賃金の伸びが前年同期比+2%台前半にとどまり、消費者物価が同+2%未満で推移するとの見通しが示されました。

【今後の展開】追加利下げの可能性高まるも、豪ドル支援材料にも注目

■先行きが不透明な米中貿易摩擦や、下がらない失業率、伸びが鈍い賃金・物価などを踏まえると、年内の追加利下げの可能性が高まっているとみられます。

■米中貿易摩擦の激化やRBAによる追加利下げは豪ドルの重しになると思われます。一方、利下げや所得税減税の景気刺激効果が徐々に発現すると期待されることや、低迷していた住宅市場に回復の兆しがみられること、貿易黒字が過去最高となっていることなどは豪ドルを下支えすると考えられます。

(2019年8月22日)

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