前年比ほぼ横ばいの4-6月期米企業業績 10-12月期以降の業績は成長が加速する見通し
前年比ほぼ横ばいの4-6月期米企業業績
【ポイント1】前年比ほぼ横ばいの4-6月期の米企業業績
「コミュニケーション・サービス」が前年比2桁の増益
■米企業の4-6月期決算の発表が進んでいます。調査会社リフィニティブによれば、約59%の企業が決算発表を終えた7月31日時点で、S&P500種株価指数に採用された企業の2019年4-6月期の純利益は前年同期比+1.3%です。4月1日時点の同+2.8%予想からは下方修正ですが、7月1日時点の同+0.3%からは改善しており、4-6月期の純利益は前年同期比ほぼ横ばい程度で落ち着くと思われます。
■セクター別に見ると、「コミュニケーション・サービス」が同+18.3%と堅調です。同セクターにはフェイスブックやIT大手グーグルの持ち株会社アルファベットなどが含まれています。フェイスブックの1株当たり利益は1.88米ドルの予想に対して1.99米ドル、アルファベットは11.19米ドルの予想に対して11.48米ドルと、いずれも好調でした。
■また、「情報技術」は同▲3.2%の減益となる見通しです。ただ、4月1日時点の同▲5.8%、7月1日時点の同▲7.9%よりも減益幅は抑えられそうです。中心となるアップルの4-6月期の1株当たり利益は、2.10米ドルの予想に対して2.18米ドルと堅調でした。iPhoneの販売が落ち込んだものの、サービス収入などが好調だったことが背景です。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
【ポイント2】7-9月期がボトム。10-12月期以降は成長が加速する見通し
米国景気は年後半から緩やかに持ち直そう
■続く7-9月期のS&P500全体の1株当たり予想利益は、7月末時点で前年同期比▲0.7%と慎重な予想に下方修正となっています。6月末時点の集計では同+0.8%でした。6月末時点と7月末時点の予想利益伸び率をセクター別に確認すると、「情報技術」が▲6.4%⇒▲5.7%、「コミュニケーション・サービス」が+1.0%⇒+1.8%と小幅な上方修正となっていますが、 「一般消費財」が+6.8%⇒+2.7%と大きく下方修正されたほか、「ヘルスケア」が+3.3%⇒+2.6%、「金融」が+6.8%⇒+4.6%にそれぞれ下方修正となりました。時価総額上位のセクター以外では、「エネルギー」が▲13.6%⇒▲19.0%に下方修正となりました。7-9月期は総じて利益の伸びが鈍化する局面となりそうです。
■しかし、米国の企業業績は7-9月期を底に、10-12月期以降は成長が加速する見通しです。米中の対立継続がリスク要因ですが、更なる対立の激化は回避されると考えられることや、米連邦準備制度理事会(FRB)が7月末の利下げに続いて予防的な追加利下げを行う可能性が残ること、また、半導体サイクルに底打ちの兆しが確認されつつあることなどを背景に、米国景気が年後半から緩やかに持ち直すと期待されるためです。
【今後の展開】予想PERで15~17倍程度のレンジでの推移が見込まれる
■S&P500種指数の12カ月先予想株価収益率(PER)は17.0倍です(7月31日現在)。今後は予想PERで15倍~17倍程度のレンジで推移すると考えられます。米中貿易摩擦による生産へのマイナスのインパクトは7-9月期の業績に反映されると思われ、上値が抑えられる可能性があります。一方、FRBは景気の下振れリスクに対する警戒は緩めておらず、ハト派的な金融政策が継続するとの期待が株価を下支えする要因になると考えられます。
(2019年08月01日)
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