4月下旬から軟調な原油価格(2019年5月) 需給は引き締まり継続、6月25日のOPEC総会に注目

4月下旬から軟調な原油価格(2019年5月)

【ポイント1】原油価格は4月下旬から軟調

世界的にリスク回避の動き広がる 20190531gl1

■北米の代表的な原油価格であるWTI原油価格は、今年に入って堅調に推移していましたが、4月下旬以降は軟調な動きとなっています。

■米中貿易摩擦の激化懸念およびそれを受けた世界的な景気減速懸念が高まったことや、米国の原油在庫が高水準になっていることが背景にあります。

【ポイント2】OPEC産油量は低位推移

現状のままなら今年はやや需要超か20190531gl2

■5月14日に公表されたOPEC(石油輸出国機構)月報の5月号によると、OPEC加盟国の原油生産量は低水準で推移しています。4月の生産量は日量で前月比ほぼ横ばいの3,003万バレルでした。

■2019年の原油需要見通しは、全世界で前年比+1.2%の日量9,994万バレルと予想されています。需給が均衡するにはOPEC加盟国で3,058万バレルの供給が必要とみられ、現状程度の産油量が続くならば、今年は需要が供給をやや上回りそうです。

【今後の展開】6月25日のOPEC総会では7月以降の減産幅に注目

■リスク回避の動きなどから原油価格は下落しましたが、米国のイラン・ベネズエラへの禁輸措置や産油国の政情不安が継続しているほか、OPEC加盟国および非加盟国の主要産油国が6月末まで協調減産の規模を維持するとしていることから、需給が引き締まった状態にあることに大きな変化はないと考えられます。

■米中貿易協議については不透明感が強い状況が続いていますが、両国とも自国の経済・市場への大きなダメージは避けたいと考えられることから、今後両国が歩み寄り、協議が進展することが期待されます。

■OPEC加盟国および非加盟国の主要産油国は、5月19日に減産状況を確認する委員会を開催しました。その中では、7月以降も協調減産を続ける方針が示されましたが、減産幅の決定は6月25日のOPEC総会に持ち越されました。総会では減産幅がどの程度縮小されるかが注目されます。

(2019年5月31日)

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