EU運営の先行きを占う『欧州議会選挙』

 

EU運営の先行きを占う『欧州議会選挙』

「欧州議会」は欧州連合(EU)の主要機関の一つです。EUの諸活動に対し民主的なコントロールを行うことを目的に政策運営について討議・検討し、特定分野の立法における理事会との共同決定権、EU予算の承認権、新任欧州委員の承認権などを有しています。EU加盟諸国から直接選挙で選出された議員で構成され、任期の5年毎に 『欧州議会選挙』が実施されます。今回は5月23~26日が選挙期間となります。

【ポイント1】中道派が過半数を維持する見込み

注目の反EU派は1/3の達成は困難

■EUでは、5月23~26日に『欧州議会選挙』が実施されます。英経済紙フィナンシャルタイムズによると、実質上の連立体制をとっている中道右派の欧州人民党(EPP)と中道左派の欧州社会・進歩連盟(S&D)の議席数は現在の54%から40%台へ低下し、第2党まででは過半数の議席を獲得できない見込みです。ただ、中道派リベラルの欧州自由民主連盟(ALDE)を合わせた3党まででは過半数を獲得できると見られ、今後、中道派で連携ができるかどうかが注目されます(5月13日時点)。

■一方、反EUとされるグループは前回より議席数を増やすと見られるものの、議会で大きな影響力を持つとされる33%には達しない見通しです。

【ポイント2】英国も『欧州議会選挙』参加へ

与党・保守党は敗北の恐れ190520MK

■EUからの離脱(ブレグジット)協議が難航している英国は、当初3月末に予定された離脱が実現せず最大10月末まで離脱期限が延長されているため、『欧州議会選挙』への参加が不可避の状況です。

■英国の世論調査によると、EU離脱運動を主導したナイジェル・ファラージ氏が立ちあげた新党「ブレグジット党」が第1党に躍進すると見られます。メイ首相率いる英与党・保守党は、5月2日に行われた英国地方選挙に続き、苦戦を強いられそうです。

【今後の展開】選挙の結果がブレグジットや今後のEU運営を占うカギに

■英国では、メイ首相が6月上旬にブレグジット関連法案を英議会に提出する方針を示しましたが、『欧州議会選挙』の結果によっては、離脱協議がさらに難航する恐れがあります。

■また、EUでは、秋に欧州中央銀行(ECB)総裁、欧州委員会委員長、欧州理事会理事長など重要ポストの交代を控えています。今回の『欧州議会選挙』の結果がポストの選考にも影響すると見られるため、その動向が注目されます。

(2019年5月20日)

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