転換期を迎える『調剤薬局』

 

転換期を迎える『調剤薬局』

『調剤薬局』は、病院から調剤業務を切り離す「医薬分業」により、病院前に立地する「門前薬局」が急増して拡大が続きました。また、高い利益率のため大手への集約も進みませんでした。ただ、ここにきて『調剤薬局』大手によるM&A(合併・買収)など淘汰・再編の動きや「かかりつけ薬局」への移行など、『調剤薬局』は転換期を迎えています。今後の動向が注目されます。

【ポイント1】『調剤薬局』は「医薬分業」により急成長

■1974年に当時の厚生省が薬の処方量を削減する目的で病院から調剤業務の切り離しを促し、「医薬分業」が始まりました。その後、高い利益率を背景に病院前に立地する「門前薬局」を中心に『調剤薬局』は約6万店まで増加しました。ただ、ここにきてM&Aの増加や「かかりつけ薬局」への移行など大きな変化が起きており、『調剤薬局』は転換期を迎えています。

【ポイント2】『調剤薬局』はM&Aや「かかりつけ薬局」への移行など転換期190425MK

■『調剤薬局』大手による中小薬局のM&Aが活発になっています。背景には深刻な薬剤師不足や出店候補地の減少などがあります。『調剤薬局』最大手のアインHDは2月25日、同業の土屋薬品(長野市)の全株式を取得し、3月28日付で完全子会社にすると発表しました。また、激しい価格競争が続くドラッグストアで『調剤薬局』を併設する動きも増えています。スギHDはドラッグストアすべてに『調剤薬局』を併設する方針です。

■厚生労働省は、医療費の膨張が続いている中、診療や処方を削減するため、2025年までに全ての『調剤薬局』に患者の薬歴を管理し、健康の相談窓口になる「かかりつけ薬局」への移行を促しています。『調剤薬局』はビジネスモデルの見直しを迫られています。

【今後の展開】『調剤薬局』の淘汰・再編が本格化

■「かかりつけ薬局」への移行に加えて、厚生労働省は2020年度にも患者が自宅で処方箋を入手できる制度を整える方向にあるなど、医療費削減に向けた取り組みを続けていくとみられ、『調剤薬局』は対応を迫られます。集約の遅れていた『調剤薬局』でもこうした動きへの対応ができない薬局を中心に淘汰・再編が本格化していくとみられます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
(2019年4月25日)

印刷用PDFはこちら↓

転換期を迎える『調剤薬局』

関連マーケットレポート

2019年 3月20日 『再生医療』への民間企業の参入が相次ぐ

2019年 3月11日 『iPS細胞』を使った再生医療が始動

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会