本邦企業の中間決算~前半のハイライト

市川レポート(No.586)本邦企業の中間決算~前半のハイライト

  • 日経平均構成の3月期決算75社が中間決算終了、純利益増益で通期予想引き上げは16社。
  • 半導体関連では信越化学、アドバンテスト、電子部品ではローム、TDK、村田製作所が好決算。
  • 決算は悪くないが、同一セクターでも好不調が分かれ、業績の株価押し上げ効果はやや控えめか。

日経平均構成の3月期決算75社が中間決算終了、純利益増益で通期予想引き上げは16社

日経平均株価を構成する225社のうち、3月期決算企業は188社です。10月31日時点で、その約4割の75社が中間決算発表を終えました。75社の中で2018年度の通期純利益予想を公表しているのは72社です。このうち、通期の純利益予想を引き上げたのは20社(27.8%)で、引き下げたのも同数の20社(27.8%)でした。据え置きが最も多く、32社(44.4%)でした。

また、2018年4-9月期の純利益について、前年同期比増益となったのは、75社のうち38社(50.7%)で、減益となったのは32社(42.7%)でした。そして、赤字転落となったのは4社(5.3%)、黒字転換となったのは1社(1.3%)でした。今のところ、決算内容は全体として強弱まちまちの印象ですが、2018年4-9月期の純利益が前年同期比で増益または黒字転換となり、通期の純利益予想を引き上げた企業は16社ありました(図表1)。

半導体関連では信越化学、アドバンテスト、電子部品ではローム、TDK、村田製作所が好決算

次に、セクター別の動きを確認します(図表2)。半導体関連について、信越化学工業とアドバンテストは、2018年4-9月期の純利益が前年同期比で増益となり、通期の純利益予想を引き上げています。東京エレクトロンも純利益は増益でしたが、通期の予想は引き下げています。また、SCREENホールディングスは、2018年4-9月期の純利益が前年同期比で減益となり、通期の純利益予想を引き下げています。

電子部品の主要7社について、2018年4-9月期の純利益が前年同期比で増益となり、通期の純利益予想を引き上げたのは、ローム、TDK、村田製作所でした。なお、日本電産と京セラも純利益は増益でしたが、通期の予想は据え置いています。一方、アルプス電気と日東電工の純利益は減益となり、通期の見通しはアルプス電気が据え置き、日東電工は引き下げとなりました。

決算は悪くないが、同一セクターでも好不調が分かれ、業績の株価押し上げ効果はやや控えめか

電気機器の主要5社について、2018年4-9月期の純利益が前年同期比で増益となったのは、日立製作所、富士通、ソニーでした。また、通期の純利益予想は、日立製作所と富士通が据え置き、ソニーは引き上げています。一方、パナソニックと三菱電機の純利益は減益となり、通期の見通しは、パナソニックが据え置き、三菱電機は引き下げとなりました。このほか、工作機械関連や自動車にも企業によって決算内容にばらつきがみられました。

現時点での中間決算は、全体として失望を誘うほど悪い内容ではありません。ただ、企業によって好調・不調がはっきりと分かれ、同じセクター内でも同様の傾向がうかがえます。そのため、企業業績の株価押し上げ効果は、比較的控えめなものになる可能性があります。なお、本日の日本時間午後、トランプ米大統領が米中貿易合意の草案作成を指示との報道を受け、日本株は急騰しました。米中関係の改善期待につながるニュースは、業績懸念を和らげるため、決算終了後は11月下旬に予定される米中首脳会談に注目が集まります。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

181102

(2018年11月2日)

 

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